誰かと話していて、「良い質問だね!」と言われると嬉しいし、自分の疑問は間違っていなかったんだと思えて、自信がつきます。一方で「それで?」などと質問に質問で返されると落ち込みますよね。
「質問なんて、疑問に思ったことを聞くことでしょ」「子供の時からできてるよ、コツなんてあるの?」などと思っている人も多いのではないでしょうか?
普段何気なくしている「質問」ですが、実はとても大事なコミュニケーション能力なのです。質問の仕方が良いことで、仕事を有利に進められることもあります。そして、相手との信頼関係を深められたりもするんですよ。
もし、「質問の仕方」のコツがわかれば、たとえ口ベタだなと思っている人でも、コミュニケ-ショーン力がUPします。そして、人との信頼関係を上手に築くことができるようになります。
私は、人といるのが大好きで、おしゃべりも好きですが、初対面の人と話すのは得意ではありません。ブータンで旅行の手配の仕事をしているのですが、手配だけでなく現地のガイドをすることもあります。
ツアーの前日は「どんな人なんだろうな?」「人それぞれ、やりたいこと、見たいこと、知りたいことも違うけど、満足してもらえるかなー」と不安に思う時期もありました。
しかし、質問の仕方を意識するようになってからは、ゲストの方とのコミュニケーションもスムーズになり、ゲストの方の要望にも応えられるようになりました。そして、旅行が終わった後でも、良い付き合いが続いている方がたくさんいます。
そこで今回は、コミュニケーション力がUPし、人との信頼関係を築ける「質問の仕方」について、経験を交えながらお伝えします。
目次
質問するって、どういうこと?
質問の定義
私たちは日々、質問をしたり、されたりということを繰り返しています。まず、質問の意味を確認しておきましょう。
「今から疑わしい点を問いただすよ!」と言われると少し恐いですよね。
質問は、「疑わしい点について問いただす」という役割もありますが、質問の効果について、もう少し具体的に考えてみましょう。
◆情報を明確にし、共有する
◆考えるきっかけを作り、解決策を見つける
◆思い込みをゆるめる
◆やわらかくお願いする
◆要求する
◆強調する・納得感を作る
◆選択させる
このように「質問」にはいろいろな効果があるのです、意識的に使うことによって、コミュニケーション力をあげ、更に良い信頼関係を築くことができます。
次に、質問する相手、質問の種類について考えてみましょう。
自分にする質問と相手にする質問
まず質問には「自分にする質問」と「相手にする質問」の2種類があります。
例えば食べることについて考えてみましょう。自分に対して「何食べるんだろう?」と毎日食事の度に質問しています。
そして、「ランチ何食べる?」などと相手にする質問もありますよね。相手もひとりの時もあれば、複数の時もあります。
「質問」と聞くと、相手にするものというイメージが強いかもしれませんが、実は意識していないだけで、自分にしている質問の数の方が遥かに多いのです。
自分にする質問の量と質が、自分の人生を決めているので、まずは、自分への質問にも意識してみてください。
クローズ質問とオープン質問
質問の仕方には「クローズ質問」と「オープン質問」があります。
クローズ質問は、「わかりましたか?」「行きましょうか?」相手が「はい」「いいえ」などの回答範囲を制約した質問の仕方です。
それに対して、オープン質問は「これについてどう思いますか?」「これからどうしたいですか?」などのように、答える範囲に制約がなく、自由に答えてもらうような質問の仕方です。
具体的には、「5W1H」=「when(いつ)where(どこで)who(誰)what(何)why(なぜ)how(どうやって)」の6つの疑問符を使った質問です。
学校などの集団生活では比較的、「はい」、「いいえ」などで答えるクローズ質問も多いですが、大人になると、明確な正解がないことも増えてくるので、オープン質問が使えることが求められるようになってきます。
初対面の人とも、初めは直ぐに答えられるようなクローズ質問で始め、更に奥が深い話しをオープン質問ですると、更に親交が深められますよね。
良い質問と悪い質問
実は質問には「良い質問」と「悪い質問」が存在します。その違いと効果についてここではみていきましょう!
良い質問とは
相手の意見や体験など、相手に聞かなければ分からない質問です。更に、下記のような質問です。
ブータンでガイドをする時、旅行が好きな方が多いので、今まで行った旅行先の話しを聞いたりします。みなさんとても嬉しそうに話しをしてくれます。
また、私にとって当たり前に感じているブータンのことを質問されて、「確かに、そうだよな」と気づかされることもあります。
良い質問の仕方をしていると、質問する側も答える側も会話が弾み、どちらが質問する側かもわからなくなるものです。
悪い質問とは
Googleで検索したら分かるような、単なる知識を問うものは、まずは自分で調べてみた方が良いですよね。更に、下記のような質問です。
なんて答えたら正解なのか、わからないような質問をされて、誰も答えられなくてしーんとすることってありますよね。
悪い質問の仕方をしていると、一気に場の雰囲気が変ることもあります。
質問の仕方と信頼関係
人が会話をするときには相互に「質問」が交わされることになります。そして、その質問の仕方で、会話の方向性や相手との関係性が大きく変わります。
良い質問は会話を弾ませて、相手に良い印象を与えます。そして、悪い質問は会話をしぼませ、相手に悪い印象を与えます。
もしも、会話中に悪い質問ばかりしていると、つまらない人物だと思われ、良好な信頼関係をつくることができず、チャンスにも恵まれなくなってしまいます。つまり、良い質問を心掛けないと、信頼関係を築きそこないます。
質問の仕方が良いと、疑問に思っていることの的確な回答を得ることができるようになります。そして、どのような問題も的確に解決できるようになるのです。その結果、問題解決能力に長けているので評価が高まり、人々に信頼される人物になっていきます。
ガイドをする時もひたすら説明するというよりも、なるべく質問をしながら、相手が何を知りたいのかを理解して、説明するように心掛けています。そうすると、相手も自分の思ったことを話し始めるので、その人のことがわかり、相手との関係性が良くなるんですよね。そして、ツアーが終わる頃には、信頼関係も深くなり、また会いましょうね!という関係になります。
数年前にブータンの教育現場を案内したのですが、更に教育関係者に紹介してくれ、大学の海外研修のツアーも手配できるようになりました。
的確な質問の仕方を知っていると、質問というコミュニケーションを通じてさまざまな人々との信頼関係を深めていくことができるのです。
良い質問の仕方とそのコツについて
それでは、良い質問の仕方を考えてみましょう。質問の仕方のコツを意識しながら、人と会話をしていきましょう。良い質問の仕方が自然に備わっていき、コミュニケーション力もUPしているはずです。
コツ①「何を知りたいのか」を分析して、質問をする前に自分で調べてみよう
自分が何を知りたいのか、相手から何を聞きたいのかを明確にしておくことは大切です。本当に何を知りたいかをはっきりさせておかないと、的確な質問ができなくなり、自分が欲しい答えを相手からもらえなくなります。また、聞く相手を間違ったりしますよね。
そして、誰かに質問をする前に、自分で調べることには大きな意味があります。まず、自分で調べることによって、自分自身にも質問をすることになり、自然と相手に質問をすることも明確になっています。「どこの」「なにが」「どのように分からないのか」を再確認できますよね。
「ブータンでどこに行ったら良いですか?」と漠然と聞かれても、どんなことに興味があるかも全くわからないので、一般的に人気がある所とか、好きな所を答えるようになります。
まずは、自分が何を知りたいのかをはっきりさせ、更にその知りたいことについて調べてみましょう。自分が聞きたいことに焦点をあてるような、質問の仕方にすると、相手から欲しい答えがもらえるようになります。
私は学校の先生をしていて、教育に興味があります。ブータンでは国語以外の授業は英語で行われていると聞きました。ブータンの教育事情について知りたいのですが、どんなプランがありますか?
事前に許可を取れば、学校訪問もできますよ。あとは、子供がいる世帯にホームスティをしてみると、生の教育事情がわかりますよ。
このように、自分が調べて知っていることを添えることによって、相手に「どこまで理解しているのか」を具体的に伝えることができます。そして、相手は「ちゃんと自分で考えてから質問しているんだ」と思ってくれ、信頼関係が深まりますよね。
コツ②相手が話しやすい雰囲気を作り、相手が会話の中心になるよう質問しよう
初対面の人と会話しなければならない、会話するの苦手だなと思った時に役に立つのが質問です。
質問をすることで相手は「自分に興味を持ってくれている」と嬉しくなります。話しをするのが苦手だと思っている人は質問をして、相手に会話の主導権を握らせて、話しをしてもらうことで場をつなげることもできます。
すぐ答えが出るような「クローズ質問」と会話が深くなる「オープン質問」の2種類を意識すると、会話の質が変ります。
例えば、私は、ツアーが始まった時に次のような質問から始めます。
いろいろな国にご旅行されているのですか?
はい、年に2回ぐらいは海外にも行きます。
そうなんですか、じゃあたくさんの国に行かれましたよね。今まででどこが好きでしたか?
最近行ったところでは、ボリビアがとても面白かったです。
わー、いいですね。ボリビアはブータンと同じように高地ですよね。ボリビアは何をしてきたんですか?
ずっと行きたかったウユニ湖で映え写真撮ってきました。もう思っていた以上にいろいろな面白い写真が撮れるんですよね。それと・・・
相手に「よくぞ聞いてくれた」と思ってもらえる質問で、相手に楽しく会話をしてもらい、相手の趣味嗜好を知ることができますよね。
あとは、相手の話に反応することは、とても大事なことです。自分が話しているときに相手が反応を示さないと、話を聞いてくれているのか不安になります。相槌を打つことや、内容をオウム返しするなどのリアクションを取りながら、会話をしましょう。
コツ③相手の話しをしっかりと聞いてから、次の質問をしよう
相手が答えてくれた話しのなかで浮かんだ新たな興味点を質問することは、話の広げ方として良い方法です。でも、相手の話をしっかりと聞くように心がけましょう。分からないことがあった時は、相手の話の腰を折らないように、相手の話が終わった後に質問しましょう。
ツアー中も質問だけして、説明を聞いてくれない人って結構います。そういう人ってまた同じ質問をしてきたりするんですよね。
あまり理解せずに同じような質問をしてしまうと、「今の話を聞いていなかったのか!」と相手を怒らせてしまうことになり兼ねません。
そして、矢継ぎ早に質問をしてしまっては、相手は尋問を受けているような気分になってしまうこともあるので、注意が必要です。
コツ④ポジティブな方向に気が向くように質問しよう
質問をされると、人は物事を考え始めます。そのため、どのように質問をするかによって、相手の思考もポジティブにも、ネガティブにもできます。
例えば、ツアー中にハイキングを予定していた時に雨が降り始めたとしましょう。
雨が降り始めたので、ハイキングは中止にしましょうか?代わりに博物館に行きましょう。
このような質問の仕方をすると、相手の意識は「雨=予定が中止」というネガティブな状況に気が向いてしまい、博物館には行けたけど、やりたかったことができなかったと言う残念な思いが残ってしまいます。
しかし、
雨が降り始めたのですが、ハイキングはどうしましょうか?雨の中のハイキングもいいですし、博物館に行くこともできますよ。
このように解決方法を考える質問の仕方をすると、相手の意識は問題の解決や、未来のポジティブな状況に気が向きます。そして、雨の中をハイキングしたとしても、博物館に行ったとしても、自分で選んだことなので、納得しやすいですよね。
相手の意識がポジティブ思考になるように質問をしましょう。そして、これは自分に質問する時も意識していましょう。日頃から自分にどうやって問いかけているかで、人生は豊かにも卑屈にもなります。
まとめ
質問は、大切なコミュニケーション能力です。良い質問の仕方を意識して、質問をする癖がつくと、相手にとっても自分にとっても成長できるきっかけになることでしょう。
人を相手に質問の仕方の練習をするのは、相手との関係が悪くなりそうで、勇気がいりますよね。だから、日頃から自分に質問している内容を少し意識してみることから始めてみるのもお勧めですよ。
ぜひ、できることから始めて、楽しい会話で人との信頼関係がよくなりますように!
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