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誰もが持っている感情の1つ怒りとは
怒りは人が持っている感情の1つです。怒りについて日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実さんは、次のように述べています。
「怒りの本当の原因は、相手でも環境でも状況でもなく、自分の中にあります。なぜなら怒りの感情は、「こうあってほしい」「こうあるはずだ」という、自分の理想や期待、願望が裏切られたときに生まれるものだからです。つまり怒りの原因は、「自分自身のゆずれない価値観」。誰かにイライラさせられたわけでも、怒らされたわけでもありません。怒りは、自分自身が生み出した感情なのです。」
(引用:2018.07.25日経xwoman(クロスウーマン))
つまり怒りとは、自分の考えや思いに反することに対して表れる感情。怒りの原因は自分自身にあるということです。
どんなに優しい人でも「怒り」の感情は持ち合わせていますよね
怒りは心理学で二次感情と呼ばれています。一次感情は、「苦しい」「辛い」「不安」「悲しい」「悔しい」「寂しい」などのネガティブな感情です。怒りはネガティブな一次感情が原因で引き起こされます。
例えば、一次感情がお風呂の浴槽に溜めるお湯だとすると、お湯を溜めすぎて浴槽からあふれ出したのが二次感情の怒り。人によって浴槽の大きさは違います。浴槽が小さくお湯があふれ出すのが早いほど、怒りやすい人だと言えます。
ではすぐ怒る人と怒りにくい人との違いは何でしょうか。次は人が怒りやすくなる原因について紹介します。
普通よりも怒りやすい人になる原因とは
人が怒りやすい性格になる原因について、精神科医の伊藤拓氏は次の3つを上げています。
セロトニンの分泌量が少ない
ネガティブ感情を抑えストレスに強くなり、人の精神を安定させる役割を担っているのが、脳内の神経伝達物質セロトニンです。セロトニンは分泌量が多ければストレスへの耐性が強くなり、ネガティブな感情を抑えやすくなります。
セロトニンの分泌量を左右するのが「セロトニン・トランスポーター」というタンパク質です。セロトニンの90%は腸内にあり、腸から脳までセロトニンを運搬するのがセロトニン・トランスポーター。セロトニン・トランスポーターには3つのタイプがあります。
SL型・・・「平均的な量を運搬するタイプ」ストレスへの耐性は普通
SS型・・・「セロトニンが少量しか運搬できないタイプ」ストレスに弱い
人が3つうちどのタイプになるかは遺伝によって決まります。すぐ怒る人の場合は、3つ目のSS型「セロトニンを少量しか運べないタイプ」です。SS型タイプの人は脳に運ばれるセロトニン量が少ないので、ストレスに弱くネガティブな感情を抑えられず、人よりも怒りやすい傾向があります。
育った環境が「怒り」に対し影響を与える
悪い環境で育った人や不遇の経験がある人は、怒りやすい性格になる傾向があります。例えば次のような環境や経験です。
・学校や職場でイジメを受けた
など
育った環境が悪い人や不遇の経験がある人は自分の境遇や世の中に対して、人よりも強い不平不満を持っており、怒りやすい人格になる傾向があります。
嫌なことがあってもそれを解消する方法を持ち合わせていないと「怒り」が常に自分の中に存在し、出てきやすくなってしまいます
食生活の乱れ
怒りやすくなる原因の3つ目は食生活の乱れです。摂取するタンパク質が少なく、過剰に糖質を摂る生活を続けると人は怒りやすくなります。
人の精神を安定させるために必要なのがセロトニン。セロトニンの分泌量はタンパク質の摂取量が大きく関係しています。
先に述べたようにセロトニンを脳まで運んでいるのがタンパク質のセロトニン・サポーターです。摂取するタンパク質が少なければセロトニン・サポーターは減少。同じようにセロトニン量も減少するので人はストレスに弱くなり精神が不安定になります。
また糖質を多く摂ると過剰に分泌されるのがインスリンです。インスリンの働きは、高くなった血糖値を抑えること。食事で糖質を体内へ多量に摂り込むと、高くなった血糖値を抑えるためインスリンも多く分泌されます。しかし、過剰にインスリンが分泌されると低血糖状態になり、人はイライラして怒りやすくなります。
食事の内容もそうですが、自分が口にするものに興味を示すことは「何を食べようかな」という心の余裕にも繋がります
3つの原因のうち、本人がその気になれば改善できそうなのは、食生活の乱れを改善することぐらいでしょう。
もし原因はどうあれ、本人が努力して怒りやすい性格を直すことができたとしても、「あなたのすぐ怒る性格を改善してはどうですか」とは言えませんよね。そんなことを言えば、怒り出すのは目に見えます。
すぐ怒る人自身が自覚して怒りやすい性格を直してくれる可能性はないと考えた方がいいでしょう。「じゃあ、あきらめて付き合うのをやめよう」と考えても、身近な人だとそういうわけにもいきません。
ではどうすればいいのか。すぐ怒る人との付き合い方は、自分が冷静であり怒りをかわすのがポイントになります。そこで次は、すぐ怒る人と上手に付き合う方法を紹介します。
すぐ怒る人と上手に付き合う方法
すぐ怒る人と上手に付き合う方法は、次の4つです。
イライラしている人とは関わらない・気にしない
イライラしている人や怒りっぽい人とはできるだけ関わらないようにしましょう。
仕事上などで「どうしても関わらないといけない」場合、もし相手から怒りをぶつけられてもできるだけ気にしないようにしてみてください。
もし、真っ向から気持ちを受け止めてしまうと、気持ちが落ち込んでしまったり、あなたにもイライラがうつって他の人との関係が悪くなってしまいますよ。
そうならないために心と距離のブロックをしっかりしてみてくだいね。
相手と一定の距離を保つ
常にイライラした人の近くにいると自分にもイライラがうつってしまうことがあります。
怒られた後などは、自分も心も怒りモードになってしまいます
相手が怒ったときは、一旦距離を置いて怒りがおさまった後に再び接しましょう。どんな人でも、しばらくすると怒りが収まります。
ベルギーのルーヴェン大学の研究によると、人の怒りの持続時間は2時間だという結果が出ています。もしすぐ怒る人に接しなければいけないなら、怒りだしてから2時間後ぐらいを目安にして、相手が冷静になったころを見てからにしましょう。
怒る原因を分析する
すぐ怒る人が怒り出す原因を分析しましょう。
これまでに怒られた状況やその時の会話などを思い出して分析すれば、相手が怒り出す原因や法則が分かるかもしれません。例えば、営業ノルマが伸び悩んでいるような仕事がうまくいっていないときなど。怒り出す原因や法則が見つかれば適切な対応ができます。
いい関係を作っていくには、相手のことを知るのが一番の近道ですよ。
否定的な言葉は使わない
相手が怒っているときに否定的な言葉は禁句です。
否定的な言葉とは「だけど」「でも」など無意識のうちに相手を否定する言葉を使っていませんか。
発言したことに対して常に否定的な感情を持たれるとイライラしてしまいますよね
怒っている最中は興奮状態なので相手を否定する言葉を使うと、さらに怒りが増長します。まずは怒っている相手の話を聞くこと。話を最後まで聞いて相手の言い分を肯定したうえで自分の考えを言いましょう。
すぐ怒る人と上手く付き合うためには、相手に立ち向かうのではなく、怒りをかわすような対応が必要です。
しかし、紹介した4つの方法を使っても相手によって上手くいかない場合も考えられます。怒られてストレスが溜まり、キレそうになることがあるかもしれません。最後にもし自分が怒りそうになったときに、怒りを抑える方法を紹介します。
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