学校や仕事に限らず、プライベートでも、いろいろな人と関わります。「ずっとこの人と一緒にいたいな」「こんな人たちと仕事したら楽しいだろうな」と思うことありますよね。
でも、働き方が多様になったり、日常の過ごし方にも変化があり、直接コミュニケーションを取りづらい分、信頼関係を築くのが難しくなっていると悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
ブータン人の夫と結婚し、夫の母、兄弟家族と一緒に大家族で住んでいます。習慣や考え方など異なることも多いのですが、今ではとても良好な関係で暮らせています。
ブータンで暮らし始めた時は、「どうして私の気持ちをわかってくれないんだろう」「みんなの役に立てることがないな」と不安に思うことも多くありました。
でも、みんなが大切にしていることを尊重して、自分の価値観もさらけ出し、知ってもらうことで、お互いの良いところを引き出し合える関係になりました。
そこで今回は、信頼関係を築くことのメリットを紹介して、「信頼関係を築く」コツを伝授します。人間関係って難しいなと感じている人は最後まで読んでみてくださいね。
信頼関係の意味
そもそも「信頼関係」とはどんな関係のことをいうのでしょうか?まずは「信頼関係」の意味を確認しておきましょう。
「信頼し合っている関係」とありますが、「信頼」の意味もはっきりさせておいた方が良いですね。
ところで、「信頼」に近い言葉に「信用」があります。この2つの言葉の違いがわかりにくいですよね。「信用」の意味をはっきりさせておきましょう。
「信用」は、相手のこれまでの過去の実績などを判断して信じることです。一方、「信頼」は、相手のこれからの未来を信じて頼りにすると考えることができます。
「信頼関係を築く」というのは、「いろいろあっても、この人に任せておけば大丈夫」と思える相互関係を築くということですね。
信頼関係を築くことのメリット
世の中は便利になり、人と関わらなくてもできることも増えてきましたよね。でも、人は決してひとりだけで生きていくことはできませんし、ひとりで生きていくのは、寂しいものです。
家庭、学校や職場など人と関わる時に、信頼関係を築くことのメリットを整理してみましょう。
人間関係のストレスが減る
人と関わると、人間関係で悩んだりストレスを感じてしまうことはありますよね。特に日常的に顔を合わす家庭や職場、学校の人間関係が良好かどうかで、1日のストレスの程度は大きく変わってくるでしょう。
信頼関係がある相手とない相手とでは、同じ言動であっても受け取り方が変ることありますよね。また、信頼関係がない相手とは、どこまで伝えて良いのかもわからず、コミュニケーションも上手くとれなかったりするものです。そして、「言った、言わない」などの争いにもなります。
また、相手のことを信頼していないと、常に何かを疑い、少しの失敗でも揚げ足をとるような行動に出てしまいがちです。
人間関係の悩みやストレスを減らす鍵は、良好な信頼関係を築くことができるかにあると言えます。
スムーズにことが進む
ひとりでコツコツとできることもあります。でも、ひとりではできることに限界があるので、チームで取り組む方が良いことは多いですよね。大勢の人で取り組むと、チームワークが良くなければ、期待するような成果は得られません。
チームワークに大切なのは、信頼関係があるかどうかです。信頼関係がないと、それぞれにやることがあるのに、他人のことを信じられず気になってしまいます。また、信頼していない相手に、やることをお願いできないですよね。
信頼関係があると、コミュニケーションも上手く取れますし、お互いがやるべきこともはっきりします。そして、ちょっとしたことでも言い合える信頼関係ができていれば、ミスを減らすこともできますよね。
お互いが信頼していれば、安心して仕事ができるだけでなく、チームとしてよりスムーズにことが進められるようになります。
助け合いができる
知り合いだけど信頼関係がない人が何かに悩んでいる様子を見かけても、どうしたら良いかもわからないので、見過ごしてしまうことはあります。
でも、それが信頼関係がある人であればどうでしょう。直ぐに相談に乗るかもしれないし、その時にタイミングが合わなくても、後で声を掛けたりしますよね。
信頼関係がある相手のことには関心があります。そして、相手が上手くできなかったりしていると、自分が何をしてあげられるかもわかるし、何か助けてあげたいと思うものです。
そして、人の心理で、助けてもらうと、お返ししたくなるので、お互いに助け合うようになります。お互いの良いところを引き出し合うことができるのです。
人生の幸福度があがる
人にはさまざまな欲求がありますが、その中のいくつかは人間関係に関する欲求です。欲求が満たされることで、日々の生活における満足度や幸福度はあがっていくのです。
例えば、誰かと知り合いになりたい、友達になりたい、どこかの集団に所属したいといった社会的欲求があります。そして、周囲に認めてもらいたいという承認欲求を満たしたくなります。
これら人間関係における欲求をスムーズに満たしていく上で、相手との信頼関係を築くことは欠かすことができません。
信頼関係を築く、10のコツ
「信頼関係を築く」ためには、まず、「自分はどんな人だったら、信じて頼ることができるか?」と考えてみることから始めてみるといいかも知れません。
そして、「こんな人は信頼できない」ということを考えてみて、「その反対の人ってどんな人?」と考えてみるのも方法です。
ブータンで、異なる習慣や価値観を持つ人々と信頼関係を築いた私の体験も含めて、「信頼関係を築くコツ」を紹介しますね。
コツ①相手に関心をもつ
信頼関係を築く上では、相手に対して関心を持つことが大切です。自分のことを気にしてくれているというのは、決して悪い気分ではありませんよね。気にしていてくれるという安心感が、お互いの信頼関係につながります。
ブータン人は、お店、病院、バスなど、すれ違い程度に出会った人とも気軽におしゃべりをします。仕事、家族などの知り合いでなくても、誰にでも関心があるので、社会全体に信頼関係を築くことができてるんですよね。
殆どのタクシーが乗り合いなのですが、「みんな知り合い?」と思うぐらい、おしゃべりしています。
相手に関心を持つことで、今まで気がつかなかった相手への魅力も感じることができます。また、多くの人に関心を持って接することで、自分の世界も広がるチャンスですよ。ぜひ、出会った人に関心を持って接するよう心がけたいものです。
コツ②相手の大切にしていることを自分も大切にする
大切にしたいことや、価値観などは、人それぞれなので、自分にとってはどうでもよいこともありますよね。しかし相手の大切なものを尊重し、それを認めてあげることは信頼関係を築く上ではとても大切なことになります。
ブータンでは国民の大多数は仏教徒です。しかし、隣国にインドやネパールがあり、ヒンドゥー教徒もいます。信仰心が強いと、自分の大切なことに固執して、争いに繋がる印象もありますよね。
国教を仏教と定めていて、仏教にまつわる祝日が多いのですが、ヒンドゥー教にまつわる祝日もあるんですよ。
大切なこと価値観が違っていても、相手の大切にしていることを知り、相手に寄り添うと、相手との信頼関係もさらに深みを増すというものです。
コツ③まずは自分が相手を信頼する
まずは、自分から相手を信じてみるということも、信頼関係を築く上では大切です。人には、してもらったことを返そうとする心理があります。だから、自分のことを信じてくれた人を、自分も信じてみようと思うようになるのです。
私は、ブータンの習慣や大切にしていることを知らないまま、夫の家族と同居を始めました。何も知らなかったからもあり、義理の母がすることを素直に信じて、頼ることができたんですよね。だからか、嫁姑の関係はとても良好です。
人は信じてもらえ、頼ってもらえると嬉しいと感じます。そして、お互いに信頼を深めることができるようになるのです。
コツ④自分を信じる
人との信頼関係を築く上で大切なのは、相手のことばかりではありません。自分を信じることは大切です。「自分なんかがあの人の役には立てない」と考えてしまうようでは、対等な信頼関係を築くことはできませんよね。
ブータン人は、「自分では役に立たないかも?」と考えない人が多いです。自己肯定力が高い人が多いんですよね。
道が悪いので、車の故障もよくあります。そして、困っていると、みんな助けてくれるのです。でも、どうしたら良いかわからなく、右往左往することも多いんですよね。
自分を信じることができないと、自分が不安になるだけでなく、相手も不安にさせます。「自分はできる」と信じてみてください。
コツ⑤自分をさらけ出して、相手に知ってもらう
そして、自分をさらけ出して、相手に知ってもらうことは、信頼関係を築く上でとても重要です。自分の気持ちを隠していると、相手も警戒心を抱き、心を開いてくれませんよね。
子供の時は、自分が思っていることを今より気楽に言えていましたよね。成長するうちに、自ら、周囲の人からの影響で、自分の気持ちを隠すことが増えてきた人も多いでしょう。
ブータン人は、大人になっても素直に自分をさらけ出すのが上手な人が多いなと感じます。時には、「えっ、私にそんなこと教えて良いの?」と思うことも教えてくれます。
素直に自分のことをさらけ出してくれると、その人に警戒心を抱かないですみますよね。そして、相手が今、真剣に悩んでいることを打ち明けてくれたりすると、妙に親近感が湧いて、関係がぐっと近づくことがあるものです。お互いに心を開くことができた時、信頼関係を築くことができるのです。
コツ⑥言葉と行動を一致させる
口だけではなく、一貫性を持って行動していくことが大切です。言動と行動が一致していない人のことを信じて頼ることはできないですよね。
たとえ立派な発言をしたとしても、行動を起こさなければ、「あの人は口だけだ」と言われてしまい、結果として信頼を失います。そのため、信頼を勝ち取るには、有言実行することが信頼関係を築き上げるための有効な方法です。
ブータンの王様は、災害などがあった時に、大変な所に直ぐに視察に行きます。そして、何をしなければならないかを直ぐに決め、行動に移します。だから、国民は王様が言ったことには、真摯に耳を傾けるんですよね。
言葉と行動を一致させている人の姿を見て、周りの人も有言実行するようになるものです。言動が一致しないと相手に不安感を与え、信頼関係を築くことはできません。日頃から自分の発言には注意をはかり、「言ったことは必ずおこなう」ことが大切です。
コツ⑦他人の悪口を言わない
気心を許しだすと、他の人と話をしている時、共通の友人などの悪口を口走ってしまうことがあります。ついやってしまいそうなことですよね。でも、他の人の悪口を言っているということは、「実は別のところで自分も陰口を言われているのでは?」という不信感が生まれてしまうものです。
他人の悪口を言うことは、仏教の教えの「十悪」の中のひとつです。十悪を慎むという考えからも、悪口を言う人は信頼できないと考えられています。
ブータン人も時には他人の悪口を言ってしまうことはあります。でも、悪口を言ってしまっていると気が付くと、話しをするっと変えるんですよね。
悪意がなくても人の悪口や噂話をしている人とは、信頼関係を築くことを避けますよね。直接関係ない人でも、あまり人の悪口は言わないことです。
コツ⑧無理をしない
誰かが無理をしているということは、良好な信頼関係を築くことができていないということです。信頼関係を長く維持するためにも無理をしないこともコツです。
相手を思う気持ちに差がありすぎると、信頼関係を築いても、誰かに負担がかかり続けますよね。今はそれでもいいと思うかもしれませんが、無理をしている方が、関係を終わらせたいと思う日が来る可能性が高いです。
ブータンでは、親戚や同郷の人との繋がりが深いんですよね。見ていると、お互いに行き来することでバランスを取っているように感じます。
頑張っていい人に見られようとしたり、無理してお願いを聞いたりすると、主従関係が生まれてしまうこともあるのです。信頼関係はゆっくり築き上げていくものだと認識して、無理強いや自分の気持ちを過剰に抑え込むのはやめましょう。
コツ⑨相手を信頼して任せる
相手を信頼して任せてしまうことは大事です。成功するにしろ、失敗するにしろ、とにかく相手に任せ、成功も失敗もどちらも許容してあげることで信頼関係は強くなります。
重要な仕事を周囲に任せることで信頼感を与えることができます。誰だって重要な仕事を任されたら「信頼してくれている、頼られている」と嬉しくなることでしょう。
ブータンでは、子供も家事や兄弟の世話をよく手伝います。10歳ぐらいの子が赤ちゃんをおんぶしている姿もよく見かけますよ。
何でも自分でやろうとする人は、意外と信頼を集めにくいもので、お互い仕事を任せて協力していく姿勢が大切です。
コツ⑩相手の予想を上回ることをする
相手の期待に応えることができると信用してもらえますよね。時には相手の予想を上回ることをすることで、信用できるだけでなく、頼りになるという印象を持ってもらえ、良好な信頼関係を築くことができます。
見知らぬところに旅行に行くと、わからないことが多くてワクワクはしますが、不安に思うことも多いですよね。ブータン旅行は、専属のガイドが同行するシステムになっています。
ブータン人はホスピタリティのある人が多いんですよね。私も最初に旅行した時に、ガイドが「昔からの友達かな?」と思えるほど、心を開いていろいろな話しをしてくれました。そして、すっかりブータンの虜になってしまいました。
相手の予想を上回ることをすることで、良好な信頼関係を築くことができ、より大きなチャンスを任せてくれることにも繋がりますよね。
信頼関係の輪を広げて、幸福度の質をあげよう 〜ブータンで子育てをして見えてきた「信頼」〜
信頼関係を築くコツがわかると、夫婦、さらに親子の間、友達、職場の同僚や上司、恋人との人間関係が良好になります。さらに、家庭や学校、職場などの身近な環境で信頼関係があるだけではなく、信頼関係の輪が広がると、更に幸福度の質があがります。
ブータンは、経済的には豊かではありません。でも、お互いに人を信じて頼ることができる社会が形成されていると感じます。
多くの人が、「何を信じれば良いの?」「どうせ・・・でしょ」と考えることなく、日々を安心して暮らしていると感じるんですよね。
それでは、ブータンが信頼関係がある社会を築けている理由について、子育てを例にとって考えてみましょう。
日本だと「知らない大人についていってはいけませんよ」「赤ちゃんが泣いていると迷惑・・・」というような考えがありますが、ブータンはちょっと違います。
赤ちゃんの時は、自分では何もできず、相手に頼るしかないからこそ、赤ちゃんの要求にタイミングよく応えてあげられると信頼感は育まれるものですよね。
でも、周囲との信頼関係がなく、親だけで子育てをしていると、赤ちゃんの要求にタイミングよく応えてあげるのは難しいです。
ブータンは、親だけでなく、家族、親戚、地域で子育てをしています。例えば、レストランに食事に行った時、赤ちゃんがいて、食事をするのが大変そうだと、手の空いた店員が世話をしてくれるんですよ。
日頃から他人の子供でも、「子供はみんなの子供」と気にかけています。だから、みんな子供に慣れています。そして、何かあれば手助けしてあげることが当たり前ですし、こちらからお願いをすることも「ためらい」はありません。そんな様子を子供も見ているので、自分より小さい子の世話をよくします。
幼少期から「頼る」「頼られる」という信頼感が育まれているので、成長してからも、知り合いでなくても、自分をさらけ出すこともできるし、人を信じることもでき、信頼関係の輪が広がりやすいのです。
結婚していない友人、子供のいない友人がたくさんいます。息子が赤ちゃんの時から、いつも一緒に遊んでもらっているんですよね。今ではすっかり私抜きで、信頼関係が築けているようです。
ブータンと日本は環境は違いますが、自分ができないことを周りに「助けてくれないかな?」「手伝ってもらっていい?」とお願いすることはできます。
もし、「自分だけでは難しい・・・」と感じる時は、「ひとりで頑張る」という選択以外に、周囲の人に頼ってみるのも方法ですよ。大切な人から頼まれると「頼ってくれたなら、期待に応えよう」と思えますよね。
まとめ
人との関係で信頼関係は必要不可欠なものです。そして、信頼関係を築くのも、そして築いた関係を継続するためにも少なからずの努力は大切です。
信頼し合える関係を築きたいけど、「人を信じるのがちょっと怖い」と感じ、少しためらってしまうこともあるかも知れません。
まずは、「相手を信じようとする」のではなくて、「相手を信じようとした自分を信じてみる」のもいいかもしれません。
これから先の人生、良好な信頼関係を築くことがで、お互いの良いところを引き出し合えるよう願っています。
コメント