日々の生活の中で、いろいろな人と関わっていくことが楽しみや喜びにつながっていきます。でも、よいことだけではなく関わることで嫌な気持ちにさせられたり、関わりたくないなと感じてしまう人も中にはいますよね。
・上から目線で話をしてくる
・自慢話が多い
・高圧的な言動をしてくる
などのマウンティングをしてくる人に対して、そのような感情をいだいてしまったかたもいるのではないでしょうか。
わたしも、「性格だからしょうがないのかな」「何か気に障ることをしてしまったのかな」などとマウンティングをしてくる人の心理状態がわからずにモヤモヤした経験があります。
最近では、「マウンティング女子」「マウンティング上司」「マウンティングシニア」などの言葉がつくられていて、一般的にもマウンティングという言葉が浸透してきているのが現状です。しかし、まだまだ「マウンティングってなんで起こるの?」、「適切な対処法はあるの?」などわからないことが多いのではないでしょうか。
そこで、今回はそのマウンティングという行為について徹底的に解説し、正体をあばいていくことにします。正体のわからないオバケのような存在では、おびえることしかできなくなってしまいますよね。
この記事を読むことで、マウンティングについての理解が深まると同時に、あなたも知らないうちにマウンティングをしていた!なんてことがないように、あなたのコミュニケーションを見直すきっかけにもなるはずです。
目次
マウンティングとは
「マウンティング」という言葉を辞書で調べると、
とあります。
もともとは動物の世界で行われていた、群れのなかでの優位性を示すための行為だったんだ。
動物の行為のことを意味していた言葉でしたが、人間同士が見栄を張り合う行為と類似することから、だんだんと人間の行為においても使われるようになっていきました。瀧波ユカリさんが著書のなかで「マウンティング女子」という造語を提唱したことをきっかけとして広まっていった言葉になります。
マウンティングは、上司・部下、先輩・後輩といった役職などの上下関係がはっきりしていない同僚や友達など横並びの人間関係な場合に起きやすい傾向にあるようです。曖昧な上下関係の中で相手より自分の方が優位だと証明するため、年収・家族・ファッションなどを比較対象として争っている状態ということになります。
最近では、レベルの高い大学に入り有名な会社に就職することが成功だ!とか、結婚して家庭に入って家族を支えることが幸せ!いう常識が崩れつつあります。SNSの普及によって、他人の近況をいつでも知ることができることで常に競争にさらされた状態におかれることでのストレス。
また、価値観の変化により自分とは違う生活をしている人を見ると不安になるということが、近年マウンティングが増えてきている要因となっています。
マウンティングという行為は、動物の世界においても動物園などの安定した環境ではあまり見られないことがわかっています。人間がストレスに押しつぶされないための自己防衛の本能として、人類の進化の過程でも残されてきた本能がマウンティングという行為なのだということができるでしょう。
しかし、人間の世界におけるマウンティングは、動物の世界ほど単純ではありません。相手は初対面の人から家族などの身近な存在の人まで幅広く存在し、状況もプライベート、仕事、SNSなどを考えると様々です。
実に半数以上の人がマウンティングをされた経験があるというデータもあるほどです。あなたは今までにマウンティングをされた経験はあるでしょうか。もし、あるとするなら、それはどのような環境だったでしょうか。
今回の記事におけるマウンティングは、ストレスを受ける頻度の高い友達や家族など比較的身近な存在の人から継続的に行われるマウンティングを対象と設定して、以下の記事を書かせていただくことにします。
継続的にマウンティングをされていると、その状況が普通になってしまい諦めてしまっているかたもいるはずです。でも、ちょっと考え方を変えるだけであなたが感じるストレスを軽減させることができます。日々ストレスを感じているけどどう対応したらいいかわからない!というかたは、ぜひ引き続き読んでみてください。
マウンティングの心理を理解するとなにがいいのか
マウンティングをされることで一番の問題になることは、やはりストレスではないでしょうか。
身近な存在の人からのマウンティングであれば受けるストレスは大きくなり、繰り返されることで段々と自尊心も失われていきます。その結果、身体や心に悪影響を及ぼしてしまうことにもなりかねません。特に我慢強い人は病気になって初めて、ストレスが溜まっていたと気づくこともあります。
マウンティングをしてくる人が身近な存在であればあるほど、心の支えや逃げ場がなくなるため、今後の対応を真剣に考える必要があり、その価値は大きいです。マウンティングをしてくる人の心理を理解し適切に対処することが、あなた自身を守ることにつながります。
また、あなた自身がコミュニケーションを行う際にも「マウンティングと勘違いされないかな?」、「不快感を与えていないかな?」などと考えるきっかけにもなり、人間関係を良好に保てるという効果もあります。
安定した人間関係が構築出来ていれば、日々の生活のなかで多少のストレスにさらされたとしても心の支えになるというだけでなく、オキシトシンという脳内の幸福ホルモンが分泌され幸せを感じることができるという研究結果もあるくらいです。
・自分をストレスから守ることができる
・人間関係を良好に保つことができる
・幸福ホルモンが分泌され幸せを感じることができる
ぜひ、マウンティングという行為に隠された心理を理解し、あなたにとって良い方向に生かしていきましょう。
マウンティングをする人の心理
それでは、さっそくマウンティングをする人の心理を見ていくことにしましょう。
前述しましたように、マウンティングという行為はストレスや不安感から身を守るための自己防衛行為です。
・自分に自信がない
・自分の価値は低い
・自分の方が幸せだと感じたい
・他人がうらやましい
などの気持ちの裏返しとして、他人にマウンティングをして自分の自尊心を保っているということになります。
一般的にこのような感情は、自己肯定感や承認欲求と呼ばれています。自己肯定感とは自分の価値や存在意義を肯定できる感情のことで、承認欲求とは他人から認められたいとか自分自身を価値のある存在として認めたいという欲求のことです。
このような欲求はマウンティングをする人だけの特別なものではなく、誰でも持っている欲求になります。わたしも仕事で上司から評価されたいと思ったり、誰かの役にたつ価値のある人になりたいと思った経験があります。
誰にでも存在する欲求を満たすための行為なのですが、そのために他人に不快な思いをさせてよいということにはならないはずです。
外見は強く見せていますが、心の中には、恐怖心、不安感、情けなさといった感情がマウンティングをしてくる人の深層心理には眠っています。敵を相手にした時に、威嚇をしている動物と同じ状態ということができるでしょう。本当に自分に自信があって精神的に満たされている人は、わざわざ他人に対して威嚇をして自分を大きく見せる必要はないですよね。
マウンティングをする人の一般的な心理はこれまでに記載した内容なのですが、厄介なことにこれに該当しづらい例外的なマウンティングが存在するということです。
・本当はやりたくないけれど、ついクセでマウンティングをしてしまう場合
・後から考えたらマウンティングになっていたかもと反省する場合
・話を盛り上げようという意図で自虐的な話をしたり、単にうれしくて報告したことをマウンティングだと受け手側が感じてしまう場合
などです。
それまでの会話の流れや相手の人柄、相手がどのような気持ちで行った言動なのか、など多くの情報をもとに相手の意図を判断する必要があります。
マウンティングされた!と一方的に考えるのではなく、もしかしたら相手にはマウンティングの意図はないのかもと一歩引いて考えてみることも大切です。
マウンティングの心理は、誰でも持っている心の弱さを守るための行為であり、マウンティングだと決めつけているのは受け手側の場合もあるんだと知っているだけでも、感じるストレスは軽減させることができるのではないでしょうか。
マウンティングへの対処法
実際にマウンティングをされてストレスを感じたときに、どのようにその相手と関わっていくのかの対処法をいくつか紹介させていただきます。
対処法1:これからも関わりたいか、一緒に時間を過ごしたいかを考える
まず最初に行うべきことは、マウンティングをしてくる人とこれからも関わりたいか、一緒に時間を過ごしたいかを考えることです。
その結果、関わりたくないという結論だったのであれば、対応はとてもシンプルになります。今後、その人と関わることをキッパリやめましょう。すぐにやめることは難しいかもしれませんが、徐々に関わる回数を減らしていくことです。
ズルズルと関わり合いを続けていると、あなた自身が精神的にすり減っていってしまうことになります。一時的な感情に振り回されず、冷静になってその人と今後も関わっていきたいのかを考えてみることが重要です。時間は有限なもの。あなたにとって大切な人のためにこそ時間を使っていきましょう。
対処法2:あなたが大切に考えているものを明確にする
関わりたくないという結論であった相手でも、仕事や付き合いなどでどうしても関係を続けていかなければいけない場合もあります。そのような相手と関わるために大切なことは、あなたが本当に大切に考えているものを明確にするということです。
マウンティングをしてくる人は、あなたの苦手な分野に対して自分にとって勝てる見込みのある戦いを挑んできている状態にすぎず、相手が勝てる見込みのない分野に関しては、マウンティングをしてくることはありません。
あなたは相手とは別の人間で、相手とは違う価値観を持っているはずです。あなたが大切に考えていない、どうでもよいことであれば、負けたとしても気にならず、いちいち張り合う必要はないですよね。
あなたが戦っている分野、最も大切にしていること、得意なことをはっきりさせることで、あなたが感じるストレスは軽減していきます。
たとえば、海外旅行に行ったことをマウンティングしてきた人がいたとします。しかし、あなたの旅行の目的は家族でゆっくり過ごすことや疲れを癒すためということがはっきりしていれば、わざわざ張り合う必要はないということが分かるのではないでしょうか。そもそも、大切だと考えているところや目的が違うということです。
対処法3:相手の内面に寄り添ってみる
次に紹介する方法は相手の内面に寄り添ってみるということです。これは、関わりたくないが関係を続けなければいけない相手にも、これからも関わっていきたい相手に対しても使える対処法になります。
マウンティングをしてきた相手に対して、「なぜこの人はこんなことを言ってくるのだろう」とか「何か心配なことや不安なことがあるのかな」などということを考えてみましょう。
そうすることで、あなたが感じているイライラを他の感情の変換することができ、ストレスを軽減することができます。これは、お客様から苦情を言われることが多い職業のかたが、実際に自分の心を守るために実践している内容です。
「対処法2:あなたが大切に考えているものを明確にする」、と「対処法3:相手の内面に寄り添ってみる」、に共通して言えることなのですが、これらはあなたが受けているストレスを軽減させる方法になります。
それでもストレスを感じ続けてしまう場合は、徐々に関わる回数を減らしたり、関わることをやめるという方向で考えていきましょう。大切なのは、あなた自身です。
対処法4:「ありがとう」という回数を増やしてみる
これは、マウンティングをしてくる人が家族などの身近な人の場合で関係を改善したい場合の対処法になります。これまでの関係を変えるためには、何かを変える必要があり、あなた自身が少しだけ変わる必要があります。
ここで注意していただきたいのが、相手を変えようと思わないことです。相手を変えるということはとても大変なことで、それが別のストレスにもなりかねません。
あなた自身を変えることは、相手のためではなく、あなた自身のために変えるということです。あなたがストレスから解放されて、精神的に安定した状態をつくることを最優先に考えましょう。
最後に紹介する対処法は、その相手に対して「ありがとう」という回数を増やすということです。
わたしは以前に妻の両親の言動に対して、心を開けずイライラしている時期がありました。そのときにわたしが意識したことが、心を開いて接することはもちろん、「ありがとうございます」という言葉を意識して使うということです。
そして、言葉だけではなく実際に感謝できることを探してみました。わたしの接する態度が変わったこともあってか、次第に妻の両親の対応も変わっていくのが実感できた経験になります。
まずは、その相手への感謝の言葉を増やし、実際に感謝できることを探してみましょう。相手を変えることはとても難しいですが、あなたが変わることで変わってもらえるようにうながすことはできます。相手への思いやりを少し増やすことで、人間関係をよくするきっかけになるはずです。
繰り返しますが、くれぐれも相手を変えようとは考えないでくださいね。目的は、あなたがストレスから解放されて、精神的に安定した状態をつくることです。
それでは、マウンティングの対処法をまとめてみます。
少しでもいいので、あなた自身の気持ちと向き合う時間をつくってみましょう。
知らないうちにあなたもマウンティングをしているかも?
マウンティングはもともとわたしたちがサルのときから備え持っている本能です。であるならば、誰もがマウンティングの加害者になる可能性があるということでしょう。自分はマウンティングなんてやっていない!という人も一度自分のコミュニケーションを振り返る機会を持ってみましょう。
マウンティングに隠された心理状態を理解し、自分も加害者になり得るんだと心にとどめておくだけで、自分が加害者にならないことだけでなく、コミュニケーションや人間関係を良好にするきっかけにもなるはずです。
偉そうなことを言っていますが、実はわたし自身もマウンティングの加害者になってしまっていた経験があります。
普段はおとなしく、どちらかというとマウンティングをされる側の人間です。でも、会議で議論をしているときや、子どもを叱るときに声が大きくなり高圧的な態度をとってしまっていることがありました。
自分が窮地に立たされたり、イライラしていつもとは違う精神状態になっているときに、知らないうちに加害者として相手に不快感を与えてしまっていることも十分考えられます。
普段は本当におとなしく、後輩や年下にも敬語になってしまいます。
マウンティングをする人の心理でお伝えした、弱い深層心理の裏返しとしてマウンティングをしてしまうということを心の隅に置いておくだけでも、一歩引いた状態で自分自身の言動を見ることができます。
コミュニケーションはお互いの存在を尊重し、相手を傷つけないことが重要です。ぜひ一度、あなたのコミュニケーションを振り返る機会を持ってみましょう。そのことが、誰とでも良好な人間関係を構築していくことにつながっていきます。
まとめ
わたしたちが生活をしていくなかで、マウンティングをしてくる人は必ず存在します。でも、マウンティングをしてくる人の心理状態を少しでも理解することができれば、関わることをやめる・関係を改善するなど、今後の行動を決める手助けとなってくれるはずです。
マウンティングをしてくる人をあなたのコミュニケーションを見直すきっかけととらえて、マウンティングしてくる人からでも学んでやろう!というくらいの姿勢で接してみましょう。
そうすることで、円滑なコミュニケーションを行う自己成長の機会とすることもできます。
言葉や態度は誰かを傷つけたり、不快にさせるものではなく、勇気を与えたり、励ましたり大切な人を良い方向へ動かすために使っていってください。
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