誰かとの会話はキャッチボールのように、「言葉」というボールがあって、受け取ってくれる相手がいて、対話というキャッチボールが成り立ちます。
野球のボールでキャッチボールをする場合、相手の取りやすいように投げたり、速い球にチャレンジしたりと、やっていくうちに目に見えて上達するのは楽しいものです。
ところが、実際に体を動かすキャッチボールの上達はできても、会話のキャッチボールとなると「ボールの選び方これでいいの?」「投げ方はどう?」「投げる方向は?」など自分と相手の事など考えることがたくさんすぎて、「苦手です」という方が多いです。
では、どうすればそんな苦手だと感じてしまう気持ちを克服できるでしょうか。
この記事では、会話に対する悩み、会話をする上でのちょっとしたコツや心構えを紹介していきます。会話に対するマインドを変えるだけで、会話のキャッチボールが楽しめる自分になっていきますよ。会話のキャッチボールって実は、気持ちのキャッチボールでもあるのです。
目次
会話に対する悩み
ただ相手と楽しく話をしたいだけなのに、会話に対するお悩みは、たくさんあります。なぜ、こんなにも悩むのでしょうか・・・それは、
「会話のキャッチボールをうまくやりたい」
と思っているからです。そして、その根底には
「良好な人間関係を築きたい」
という想いがあります。人は一人では生きていきません。家族、会社、学校など、ほとんど人と関わる環境にいます。誰かの力が必要だから、その誰かとの会話が重要なわけです。
以下、会話に対するお悩みをいくつかあげてみました。あなたもこんな気持ちになったことがあるではないでしょうか。
「会話が続きません・・・」(ボールがキャッチでない、キャッチしてもらえない、キャッチしてもらえても返ってこない)
「自分の想いがうまく伝えられません・・・」(ボールを投げても相手に届かないーーっ)
「何を話したらよいのか分かりません・・・」(どのボールを返したらいいんだ??)
「自分のことばかり話されてつらいです・・・」(剛速球が飛んでくる。しかも何球も!)
「話がかみ合いません・・・」(投げたボールが、バットで打ち返されちゃいました)
「こんなこと言ったら嫌われるのではないかと思うと、話せなくなります・・・」(相手がボクシングのグローブをしているように見えて、ボールを投げて良いのか悩んでいます)
他にも恋人、夫婦、親子、会社の上司とのキャッチボールなどいろんな場面で、自分が思っていたような会話ができないと言ったお悩みがありますよね。
なぜ相手と上手く会話ができないのか自分の中の原因を見つけてみましょう
会話のキャッチボールを行う上での大前提
ここで、会話をする上での大前提をお伝えします。それは、
「そもそも伝わらない」
ということです。なぜなら、みんな頭の中の地図が違うからです。ここでの頭の中の地図というのは、思い込みや習慣、先入観、価値観、伝統などです。
例えば、「あなたにとって御馳走って何ですか?」と聞かれた時に、すき焼きという人もいれば、コロッケという人もいるわけです。
それには、その人の背景があるわけで、お誕生日など特別な日に食べていたすき焼きが御馳走だったり、はたまた、おばあちゃんが家に来てくれる時に作って持ってきてくれたコロッケが御馳走だったりします。
その人の頭の地図が違うから、こうやって様々なメニューがでてくるのです。
御馳走っていったら、すき焼きでしょ!と思う人はコロッケが御馳走と言う人のことを理解できないかもしれません。
でも、そこで、「人それぞれ頭の地図は違う」と諦めるのではなく、「なぜ自分と違うのか?」というボールを投げれば、相手の想いや背景を知ることができるわけです。
地図が違っていたとしても、大切なのは、「なぜそう思うのか」というキャッチボールをすることで伝わるわけです。いきなり何でも伝わるわけではないので、より最初の「思い込みを一致させる」ことが大切になります。だから、その会話の中に隠れている相手の気持ちや習慣を知ることが必要なんですね。
会話は「伝わらない」からのスタートと心得よ!!
会話のキャッチボールで大切なこと:テクニック編
では、実際にどうしたら良いのかみてみましょう。ひとつでも意識するだけで、キャッチボールのレベルは上がりますよ。
相手の会話の邪魔をしない
あなたが投げたボールを、笑顔で「ナイスボーーーール!!」なんて受けとってもらえたら、とてもうれしいですよね。
実際の会話では、「ナイスボール」とは言えませんから、それに代わる相づちが必要になってくるのです。いくつかあげると
「さすがですね」
「すばらしい」
「そうなんですねー」
「そんなことがあったんですね」
「それでどうなったんですか?」
があります。
全部「さ」行だけで書いてみました。覚えやすいでしょ。
ここで、相づちを打つ時に気をつけることがあります。それは、相手の会話にかぶらないことです。相手がすべてのことを言い終わらないうちに、
「そうなんですねーー!!」
と言っても、それは相手を不快にするだけですよ。会話のキャッチーボールは、きちんとボールを受け取ってから投げて下さいね。
相手との共通点をみつける
趣味や出身地(親の出身地も含む)、小学校の給食の話など、何か共通点があると、その話題で盛り上がりますよね。
もし、事前に誰と会うか分かる場合は相手のことを事前に調べておくと会話が盛り上がります。
今は、SNSで相手のプロフィールも簡単に見ることができる時代ですので、予め、その人の好きなものや共通の知り合いなどを予習をしていくのもおススメです。
自分の弱みや欠点をユーモアたっぷりに語る
話しているとついつい自分の自慢話をしてしまう人もいますが、欠点や弱みを見せることで相手が心を開いてくれることもあります。
これがとっても上手な人がいます。それは、お笑い芸人さんです。 お笑い芸人さんの中には、自分のルックスの悪さや貧乏生活、恥ずかしい経験をネタにしている方がいますよね。それを、ユーモアたっぷりにお話ししていて、みんなから人気があります。
あえて隠したいところを、明るくお話ししてくれる方だったら、次、どんなボールがくるのか楽しみですよね。そして、自分も隠したかったボールを投げてしまいますね。そうすることで、相手との距離がぐっと縮まり、格段にキャッチボールしやすくなります。
会話のキャッチボールで大切なこと:マインド編
相手の気持ちをしっかりキャッチしよう
相手と会話を楽しむ為には、コミュニケーションをとる中で、信頼関係を築くことが大切になります。
この人は取りやすいボールを投げてくれる、どんなボールも受け取ってもらえると思ってもらえれば、会話のキャッチボールもスムーズですよね。安心して話せると感じられれば良好なコミュニケーションがとれるわけです。
そんな信頼関係を築いていくために、自分ばかりが話すのではなく、相手の話を「聴く」ことがとても大切になってきます。ここで、「聞く」とは違うことも注意ですよ。
「聞く」は、門の中に耳が入っているので門を閉じて、自分に聞き耳を立てている状態です。一方、「聴く」は、耳プラス目と心 (耳、+、目、心 ) で、耳の他に目と心とでも聴くという意味になります。相手の会話のクセやその時の気持ちに寄り添うことで心地よい会話ができるようになります。
例えば、
・相手へ自分のすべてのやじるし(興味)を向ける
・相手が投げるボールはもちろん、どんな気持ちで投げているのかも感じて、構えておく
・相手はどんなボールが好きなのか
・どこらへんに投げると取りやすいのか
・これくらいの速さまでなら受け取ってもらえるのか
こんなことを意識すると、会話がスムーズになってます。
また、次の段階として、受け取ったボールを
・否定しない
・ただ聴くときもある
・相手のパーソナリティを尊重する
など、まず相手のことを理解する。そして、自分のことも必要以上に隠さず話していくことが、信頼へと繋がります。
話し上手は、聴き上手!!なんです。
その時の自分の気持ちを大切にする~あなたの意見はどんなボールでも良いんだよ~
自分の想いを伝えるのが苦手という方、意外に多いですよね。それが理由で会話のキャッチボールを楽しめない人もいるのではないでしょうか。
楽しめない人は、周りと違うことをいけないことと考えています。
自分の気持ちという点に焦点をあてると、みんなそれぞれ違う考え、感じ方を持っているわけなので、あなたの気持ちにこれが正解というのはありません。もっというなら、すべて正解です。
極端な話、気分は常に同じと言うわけではありません。例えば、同じ質問を2日続けてされたとしても、その時の気分で、前日とは違うことを言うことだってありなわけです。
私は、あることで、そのことに気づき、自分の想いが、毎回違っても、他の人と違っても、それでいいんだ!!と思えたら、自分の想いを言うことに抵抗がなくなりました。周りの目を気にすることなく、自分の意見を言えるようになりました。
もし、相手と違う意見や想いになっても、どちらも正解です。大切なのは自分の気持ちを大切にすることと、同じように相手の気持ちも尊重することですよ。
あなたの想いのボールも
「みんなちがって みんないい」
どんなキャッチボールも楽しむ覚悟を持とう
キャッチボールを必要以上にうまくやろうと思う必要はありません。大切なのは楽しむ心です。
小さい子どもがお父さんとキャッチボールしている姿を想像してみて下さい。子どもが投げたボールは、お父さんのところまで届かなかったり、全然違う方向にいってしまったり、フォームもめちゃめちゃだったりします。でも、お父さんと子どもは笑顔で楽しくキャッチボールしていますよね。
会話のキャッチボールも同じです。お互いの楽しむ気持ちと信頼関係があれば、どんな会話だって話を広げることができます。
もし、投げたボールが相手に届かなかったとしても、コロコロと転がっていって届いたり、相手が前にでてきて拾ってくれます。相手に届かなかったら、自分が拾いに行って、また投げても良いのです。
それに、相手と親しくなれば、相手のボールが途中で止まってしまっても、あなたは前へ歩いていって拾いますよね。そんなキャッチボールでも、楽しいはずです。野球のキャッチボールでも会話のキャッチボールでも、いつも正しいフォームで相手の取りやすいところへ投げる必要はないのです。
大切なのは相手と会話のキャッチボールを楽しむ気持ち。
まとめ
会話のキャッチボールが苦手と感じている方が楽しくなるようなコツやマインドを紹介してきました。
私たちの多くが会話のキャッチボールって難しいよね、と思うのは、まずは「そもそも伝わらない」からのスタートだから当然なのです。
その大前提を踏まえ、「相手と良い関係を築きたい」という想いで、相手のことを理解し、信頼関係を築いていくことで、始めはぎこちないキャッチボールでも、そのうちに、スムーズにキャッチボールできるようになっていくものです。
子どもの時のように肩肘張らずに、楽しくボールを投げてみましょう。うまく投げようとする必要はありません。届かなかったり、違う方向に投げることもあっていいのです。あなたが、
「相手と楽しくキャッチボールをしたい」
というマインドさえあれば、投げ方が下手でも、その気持ちは相手に届いて、ちゃんと受け取ってもらえますよ。
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