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中国SFがSF小説の歴史を変えた!?【三体シリーズ】
作品紹介・あらすじ
物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。
数十年後。ナノテク素材の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体〈科学フロンティア〉への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う。そして汪淼が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?
全5冊の最後のシリーズが2021年に日本で翻訳がでました。
『黒暗森林』『死神永生』と続く三部作総計は、中国だけで2,100万部、全世界で2,900万部というぶっ飛んだ発行部数。原書刊行から11年以上たって2019年に日本語翻訳が出ました。
海外の著名人ザッカーバーグや、オバマ元大統領もオススメ!と言っていたので、早く日本語版でないかと待ちに待って読み始めたらまぁ長い!しかもめちゃくちゃ難解!!(笑)
タイトルの由来は、古典力学の「三体問題」からきています。
三体問題とは、ざっくりいうと惑星、恒星等の天体が万有引力によって互いに影響を及ぼす場合、その結果を計算によって導けるのかという問題なのですが、もうちょっと詳しく説明すると、例えば真空に物体が一つだけある場合は、その物体は停止し続けます。
これが物体二つになると万有引力によってぶつかるわけですが、この2つの物体に同方向の力を与えると、引力が均衡してお互いの周りをまわる円運動になります。
ところが物体が3つになると、それぞれ物体は常時位置を変え、その都度万有引力が起きるので、すべての軌道がゆがみ続けて予測不可能な動きになる。
ということなのですが、ストーリー全体に人間関係や組織の構造など「3」という要素で象徴的に書かれています。
中国の現代、近代の歴史にあまり詳しくないと「?」というところも多いですが、(というかそれ以前に科学的な説明のところの方が難しいですがw)じっくりじっくり読みたい人にはおすすめ。
こんなに大きく風呂敷広げてちゃんと終われるのか?と思っていてもしっかり最後には1つのストーリーとして収束していく展開が素晴らしいです。
しかも、読み終わった後、賢くなったかも?と感じたのは自分だけではないと思います(笑)
とにかく読んでほしい【同志少女よ、敵を撃て】
作品紹介・あらすじ
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?
ここまで3作品紹介してきましたが、一押しはこちらです。
昨年末にむさぼるように読みました。
新人とは思えない深みのある1冊。この1冊に注げる全てを投入したのではないかと思えるくらいの完成度です。
ミリタリーもので終わると思ったら大間違い、根底に感じられるフェミニズム、戦争で行われる殺人というもの残す爪痕の深さ、よくぞこんな小説を生み出してくれてありがとうと作者に伝えたい気持ちになりました。
なんというか語るに足る言葉が見つからないので、この作品はきっとこれからも残る名作だろうからぜひ読んでほしい、その一言につきます。
どうでもいいですが今後の読書予定
昨年末からは日本人作家さんを中心に読んでましたが、今年2月に入ってからまた海外各地の作家さんの本を読み漁っています。
シリーズものによくはまるんですが、やっぱり手に取るものはシリーズもので今年も買いあさってます。(本棚がまた足りなくなってきた..)
最近興味を持ち始めたのが韓国小説。
もっと日本に入ってくるといいなと思います。
そんなわけでまた良作に出会えたら紹介したいと思います!
ではまた!
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