「働き方改革」という言葉が飛び交う今日この頃。人が多くて窮屈な都会を抜け出し、大自然に囲まれた田舎でのんびり農業して、大事に育てた野菜をたくさんの方たちに食べてもらう。そんな羨ましい働き方を実践されている方をニュースもよく見るようになりましたよね。
そうは言っても、脱サラして農業するなんてよっぽどの覚悟をするか、一部の変わり者しかできないほど、大変なことや苦労も多そう。
テレビやネットで出てくる軌道にのったベテラン農家さんではなくて、新時代からデビューした農家さんの「今」のリアルを聞きたいですよね。
そこで今回は、大手企業を脱サラして沖縄の久米島という離島で農業を始めた2年目農家さんにインタビュー!
収入とかスケジュールとか、ぶっちゃけ本当のとこどうなのよ〜
ということを根堀葉掘聞いてきましたので、脱サラして農業を始めたい方も、少し気になっている方も1歩先を行く先輩の情報として参考にしてくださいませ!
目次
安定の大企業を脱サラしてなぜ農業をしようと思ったのか
今回インタビューするのは、こちらの方。池原久美子さんです。池原さんは沖縄の久米島で合同会社結人舎というもち麦農業と久米島の産業活性やコミュニティづくりをしている代表さんです。
なにを隠そう私のいとこです。当サイト(ALIVE)で「大好きな変わり者を取材する」と決定した時に真っ先に思い浮かんだ第1回目にふさわしい素敵な変わり者です。オファーしたらあっさりOKしてもらいました笑。
というわけで、私の住む沖縄本島からバビューーーンと久米島まで飛行機で30分!
農家とは思えないおしゃれな格好で久米島空港までお出迎えしていただきました。代表はやはり違いますな 笑
到着早々、空港のおしゃれカフェで早速取材を開始。といっても1回で終わるわけもなく、1泊2日かけてじっくりお話を聞いたことを掻い摘んで記事に起こしています。
今日は、身内ということを忘れて根掘り葉掘り聞きますのでよろしくお願いします!
早速ですが、池原さんは以前、誰もが知っている大企業で10年働いていましたよね?なぜ脱サラして農業しようと思われたんですか?
実は、脱サラする時に農業しようとは思ってなかったんですよ〜。
父や職場の上司の病気をきっかけに、もともと興味のあった「食」に関わる仕事をしたいと思い、脱サラしてからは調理師の専門学校に通ったりフードコーディネーターのお仕事をしたりしていたんです。
ほーぅ。確かに健康の第一歩は食べるものと言われますからね〜
そうなんです。とにかく「食」に関することはなんでもやりましたね。
その活動をして行く中で、やっぱり食の源流は、生産者なんじゃないかと思い始め、ライフワークで全国各地の生産者さんを訪ね歩いていたんです。
健康→食事→素材…。めちゃくちゃ源流を追求してる〜。(最後は素粒子とかになるんちゃうか 笑)
それでライフワークを続けているうちに、農業っておもしろいな〜と思わせくれる農家さんにたくさん出会えたんです。
そんな時に母の地元の久米島で畑が空いているよという声をいただいたので、結果的に脱サラして農業するっていう形になりましたね。
農業を始める前にやったこと、やらなかったこと
農業おもしろそう!畑もある!とトントン拍子に見えますが、いかんせん初心者ですよね?始める前に準備した事や、逆にやらなかった事・やめた事はありますか?
やった事は、ライフワークで出会った農業の師匠のところに1年かけて通いつめた事ですね。
逆にやらなかった事は、自分たちだけでやらない事。つまり地元の久米島の方々も一緒に協力してもらう事ですね。
そうなんですね〜!なんとなく脱サラする時って農業でも何でも、自分たちだけでやろうとしちゃいますよね。なぜ地元の方々を巻き込もうと思ったんですか?
初心者だからですよー。だって久米島の方々って日常で当たり前に農業してるんですよ?だったら、教えてもらった方が早いし、ここに住まわせてもらうので、仲良くなりたいですしね。
へ〜。あれ?でも、もち麦農業の師匠いますよね?
確かにもち麦農業の師匠はいますけど、県外なので気候も土も全然違うじゃないですか。もち麦の基本のことは聞けるけど、それが久米島で育てるのにはやっぱり地元の方々の知識や知恵が必要なんですよ。特有の虫や気候もありますしね。
農業を始める前にやれば良かった事。やらなくて良かった事。
逆に今振り返って、やっておけば良かった事やらなくて良かった事はありますか?
初期投資にかかる費用をもっと確保しておけばよかったですね。
へーーー…。農業で初期投資ってあんまりイメージ無いですね〜。
農業って思ってるより設備投資にお金がかかるんですよ。もちろん生産規模によるとは思いますけど、道具や機械が無いと労力が半端なくかかりますね。
例えば畑を耕すにも、スコップ→クワ→耕運機→トラクターの方が断然能率がいいですからね。道具が8割ってことです。
確かに、さっき耕運機体験して30分ですでに筋肉痛です 笑
長く続けていくためには、体に負担をかけずに道具や機械に頼ることも大切ですからね。
あとは、今になってよかったと思うのは、収益が出てからとかではなくいきなり法人化した事ですね。
意外なところきたーーーー!それは…個人的にも聞いておきたいです!
やっぱり法人化すると、ひとつの会社の代表という肩書きがつきますよね。それで自分自身の腹がくくれるという点。さらに周りの信頼度が上がるという点ですね。
内外共にステージが上がるということですね!
個人でもやり方はあると思いますが、やっぱり法人だと企業や行政とのやりとりもスムーズに行きますし、呼んでいただける集まりも経営者の方々が多くなるので、視野が広がるお話を聞きやすくなりましたね。
なるほど、前向きに検討します。(個人的な勝手な決意…笑)
農家のスケジュール(1ヶ月と1日)
大手企業で営業も経験した池原さんは、現在そのスキルを生かして農業だけではなく久米島の産業やコミュニティ活性のためのお仕事もされています。
新しい兼業農家の形!!
農業と活性事業という2足のわらじで活動されている、脱サラした農家さんのスケジュールについて見て行きましょう!
ある1ヶ月のスケジュール
東京・沖縄本島・久米島と多拠点で活動されている池原さん。その他、もち麦の師匠がいる愛媛や、久米島物産展などのイベントで仙台等全国を飛び回っています。
ある1日のスケジュール(平日)
平日は委託事業を中心に、休日は農作業を中心に行っています。
もち麦農業の繁忙期って9月〜5月までなので、それ以外は土作りとかなんですよ。あとは天気にもよるので、その時に応じて久米島を知ってもらう活動や、地産地承の活動を増やしたり、比重を変えてますね!
田舎で農業をするリアルなメリットとデメリット
さて、ここまで農業について色々聞いてきましたが、ぶっちゃけ田舎で農業をするって、メリットもデメリットもたくさんあると思うんです。そこのところを是非ともリアルな意見でお願いいたします。
スバリ!メリットは、地元の方々が優しくて色々助けてくれること。デメリットは、物が高い!
ズバリーーーー!物が高いとか離島あるあるですね!
食料品だけじゃなくて、農業に使うガソリンとか道具も輸送費が発生するのでどうしても高くなっちゃうんですよね。
そしてこれもよく聞く!田舎あるある!地元の方々は優しい!!
とっても優しいです。私や家族のことだけじゃなくて、畑とか活動していることも気にかけてくれてすぐ助けてくれます。美味しい野菜や料理のおすそわけもあって、久米島にいると「ゆいまーる」だな〜と思います。
農業2年目のリアルな収入面
農業ってメリットもデメリットもありますが、楽しそうですよね〜!
続いては一番気になる収入面についてお伺いしてもよろしいでしょうか?純粋に農業のみ1年目のものを…!!
ぶっちゃけ「0円」ですよ 笑
ぶっちゃけてくれて、大変ありがたいのですが、大丈夫ですか…?
笑 全然大丈夫ですよ 笑
私たちは、新しい土地に新しい農作物を育てる挑戦をしているんです。品質も味もいい農作物を作ってそれが産業として久米島が活性化するひとつにしたいという夢をもっているので、目線は中長期で考えていますからね。
もっといい土作りをするには時間も人手もいるし、農業のこともやりながら学んでいるので1年目の収益は想定内です。
というか、失敗の数だけどんどん夢ははやく現実になっている実感はありますね。
脱サラ農業1年経っての感想
夢が大きいですね〜。さらにキラキラしてますね〜!ここまで聞いていて、後悔などみじんも感じないのですが、やっぱり脱サラして農業を始めてよかったですか?
もちろんです。というか農業はやっぱり面白いし、そんな環境で仕事をしてて最高に幸せです。
それは素敵すぎますね〜。ちなみに、面白い点を具体的に教えてもらっていいですか?
農業って、天気とか自然とかコントロールできないものが相手なわけですよ。だから予測しても外れることは多いんです。起きてない未来のことを不安がるより、起きたことに対してどうやって向き合うか。ということを毎日試行錯誤することが面白いですね。
急に哲学的…。
これからの展望
脱サラして農業を始めてすでに輝いている池原さんですが、これからやりたいことや夢などの展望について教えてください。
もち麦づくりを成功させること!
成功とは?
まずは1〜2年で実をつけて、私達生産者が家で食べられるぐらいの量と品質をつくること。5年で生産規模を広げながら安定供給して一緒に作ってくださっている方々へ還元していくことですね。
聞けば聞くほど農業ってほんとに、長期目線なんですね〜。
あとは、農業に限定せず久米島のために私ができることをやっていきたいですね。そうやって久米島のいいところを守りつつ、魅力を広めていくのが夢ですね。
やっぱりめちゃくちゃ素敵な変わり者ですね〜!今回はありがとうございました!
まとめ
脱サラするだけではなく、農業と地域コミュニティ創造という今までとは全く違う業種に挑んでいる池原さん。
実際のリアルなところを包み隠さずお話してくれました。私は彼女が脱サラした時からよく話を聞いていたのですが、今回始めて知ったことや、以前からぶれない軸があることがとても新鮮でした!
じっくり話を聞いてみるって大事!
まとめると、自分に向き合った結果脱サラすることになっても、その感覚を信じて進んでいけば自然に腹のくくりどころが決まるということが分かりました。
ただ、やっぱり農業に限らず新しいことを始めるには、勇気と人の助けとある程度の資金が必要です。想像できないこともたくさん起こりますが、それぞれのメリットやデメリット、その後のタイムスケジュールなどをイメージするのもおすすめです!
現場からは以上でーす!
池原さんや合同会社結人舎の活動がリアルタイムに見られるSNSとホームページはこちらでーす!
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