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好きなことを仕事にしたい人が行動する前に知ってほしい大切なこと

今の世の中、「好きを仕事にする人」が多くなりましたよね。

・「好きなことで生きていく」がキャッチコピーでもあるユーチューバー
・ツイッターやインスタグラムを始めとしたSNSで発信するインフルエンサー
・大好きなことの代表格ともいえるゲームを仕事にしたプロゲーマー

などなど、ちょっと前では考えられなかった働き方に憧れを抱く人も多いのではないでしょうか。

それもそのはず、ある世界的な調査では「熱意を持って仕事に取り組んでいる」と回答した企業勤めの日本人はたった6%しかおらず、さらには「やる気がない」と回答した日本人の数は70%にものぼり、この結果は、実際に調査した100以上の国の中で、下から7番目の順位だったそうです。

ここまで仕事に対して「熱意がない」「やる気がない」人の割合が高いのであれば、好きなことを仕事にして生きている人に憧れを抱く人が多いのも当然かもしれませんね。

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実は僕も、そんな憧れを抱いていた時期があった1人です。

その頃は、とにかく「安定」ばかりを求めていて、特に深く考えずに、なんとなく親と同じ安定イメージの代表格でもある「公務員」を目指していた時期もありましたし(結局やめましたが)、就職活動をする中で、企業を選ぶ基準といえば、給料が良さそうか、自分の大学の学部と同じ業界で受かりやすいかどうかくらいしか考えていませんでした。

こんな浅い考えで企業に入社したところで「熱意を持ってやる気に満ちた働き方のできる人生」なんて送れるはずもありません。しかし、いろいろな出会いやきっかけがあって、今では僕も、自分の大好きなことを仕事にして生きることができるようになりました。

そんな僕の経緯もかんたんにお話しながら、今振り返ってみて、当時の僕にも伝えたかった 「好きなことを仕事にしたい人が知っておきたいこと」をまとめてみました。

とはいえ、いざまとめてみると、かなり長文の記事になってしまいましたので、正直、さくっと気軽に読むボリュームの記事ではありませんが、それだけ伝えておきたいことが多かったということかと思いますので、これから目指す人には、参考にしていただければ幸いです。

好きなことを仕事にして生きていく選択肢が全く頭になかった僕でもできた

リッツカールトンでボードゲーム

いろいろとお話をする前に、この記事を書いている僕が何者かといいますと、ざっくりいえば、「ボードゲーム(主に電気を使わないゲームを指します)」というエンターテイメントを生業にしている者になります。

「ボードゲーム」と聞くと、ピンとこない人もいるかもしれませんが、日本の代表的なボードゲーム「人生ゲーム」といえば、誰もが一度は遊んだり、耳にしたことはあるのではないでしょうか。

そんな「ボードゲーム」で僕がどうやって生きているかを具体的にお話すると、世界的ベストセラー「7つの習慣」や映画化もされた大人気作品「キングダム」のボードゲームを企業から直々に依頼を受けて開発したり、「マツコの知らない世界」をはじめとした様々なメディアを通して、世界中の魅力的なボードゲームの情報を提供したりしています。

他にも「好きなことで生きる」をテーマにした講演を企業や学校などで行わせていただいたり、「好きなことで生きる」を題材とした本を出版させていただいたりと、おかげさまでいろんな仕事をいただいて活動をしております。

これだけ聞くと、順風満帆に見えますが、実は最初に就職した会社が肌に合わず、 新卒のくせに2ヶ月で辞めてしまったり、辞めてからいろいろチャレンジしてみたもののうまくいかず、1日100円生活をするはめになって、いかにサラリーマンが恵まれた環境かを思い知ったりと、今思えば、笑い話のようなことですが、当時は相当こたえる人生を送っていました。

しかし、結局は思い切って飛び出した経験があったからこそ、好きなことで生きることができるようになりましたし、今、この記事を通して「これから好きなことを仕事にして生きていきたいと思っている人に伝えておきたいこと」を共有できれば、自分の過酷な時期を経験したのも決して無駄なことじゃなかったのかなと思えます。

誰しも好んで過酷な経験をしたいとは思わないでしょうし、 どうせならそんな辛いことは避けたいと考えるのが人情だと思うので、これからまとめた内容をじっくり読んで、僕と同じ過ちを繰り返さないようにしてくださいね(笑)

好きなことで生きていくことは誰にでもできる

僕とボードゲーム

「好きなことで生きていく」とだけ聞くと、才能や運に恵まれたごく一部の人にしかできないものと思ったりしてしまったことはないでしょうか。

自分も昔はそんな風に思っていて、学生の頃から大好きで今では生業にしているボードゲームでさえも、学生の頃の友人に「そんなにボードゲームが好きならボードゲームで生きていけるんじゃない?」と言われたときにさえ「そんなのできるわけないじゃん!」と即答していたくらいです。

そう思ってしまうのも当時の僕であれば、当然といえば当然で、好きなことで生きていくためには「その好きなことでNo1の知識や所持数を持ち合わせていなければいけない」と(誰もそんなこと言っていないのに)思ってしまっていたんですね。

このNo1になるというのは、たしかに好きなことで生きていくために大切なことであるのは間違いないですし、No2よりもNo1の方が当然良いのですが、No1になることの意味を履き違えてしまうと、せっかくの機会を自ら捨ててしまう可能性もあるのです。当時の僕は、まさにそれでした。

僕がボードゲームを仕事にして生きることができたといえるのは、最初にボードゲームを開発した25歳のときだと思いますが、当時の僕は、とてもじゃないですが、日本一ボードゲームの知識があるとか、日本一ボードゲームを持っているとかいえませんでした。

では、なぜ、そんなNo1でもなかった僕にそのような仕事が舞い込んだのか。

見方を変える

それは一言でまとめると「No1の見方を変えたから」といえるでしょう。

僕を例にしていえば、たしかに僕は日本一、ボードゲームの知識や所持数は持っていませんでしたが、それはボードゲームのマニアの中の話であって、そのマニアの中でNo1になるのが難しそうなら、”ボードゲームを知らない人”からNo1だと思ってもらえばいいのではないかと考えました。

当時、僕が活動を始めた学生の頃は、ボードゲームの話をするのは、基本的にマニア同士でしかするものではなく(というか、マニアックすぎて普通の人はついていけない)、一般の人にボードゲームの情報を提供している人がほぼ皆無でした。

もちろん、ボードゲーム専門店やボードゲーム専門ブログが情報を発信していましたが、当時は、ボードゲームは今よりもずっと、サブカルチャー的な存在だったので、基本的にはマニアしかターゲットにしておらず、掲載されている情報も専門用語が多いため、一般の人が海外のマニアックなボードゲームにふれることはほとんどなく、知ったとしても入りづらい世界と感じた人もいたと思います。

そこで、僕はボードゲームを全く知らない一般の人でもわかるボードゲームの情報発信や実際にいろんな場所に赴いて、海外のボードゲームを”ボードゲーム全く知らない人だけ”に提供する活動を始めたのです。

活動をしていて気づいたのが、誰にあっても「ボードゲームで活動している人はこの人だけ」と思われていた(実質、ほとんどそうでしたが)ので、会った人たちから見れば、「ボードゲームならこの人がNo1」と思ってもらえたのだと思います。

それを続けていた結果、ボードゲームの開発を考えている企業から、ボードゲームの開発依頼のお声がかかったわけです。これは、僕が日本一ボードゲームを知っているとか持っているとかとは、関係がないことだというのがおわかりだと思います。

実際、好きなことで生きていこうとする多くの人が実行できない理由が「自分はこの好きなことにおいて、No1ではない」という思い込みにあります。

思い込み

たしかに映画でも料理でも知識量がNo100の人とNo1の人のどちらに聞きますか?と聞かれれば、大抵の人がNo1の人に聞くと思います。

ですが、そのNo1は「日本全国でNo1でなくてもいい」わけです。

例えば、映画や料理で日本全国No1になるのは大変でも「英語を勉強するために最適な映画」とか「お付き合いしている彼氏に喜ばれる恋愛成功のための料理」などで、自分の専門分野を絞り、競合を少なくすることでNo1になる可能性を上げることができるのです。

ビジネス的には「ポジショニング」といったりしますが、これをうまく使えば、誰でも好きなことで生きることは決して不可能なことではないと僕は考えています。

好きを仕事にするビジネスガイドブック

好きなことを仕事にする前に考えておきたい5つのチェックポイント

ここまで「好きなことを仕事にして生きていくことは誰にでもできる」という話をしてきましたが、実は人によって向き不向きがあったりします。

「好きなことを仕事にして生きる」ことは、あくまで1つの選択肢であり、必ずしもこれが最適の正解であるわけではありません。

人によって「好きなこと」は千差万別です。

自分で仕事の流れを決めることが好きな人もいれば、逆に指示してもらって集中することが好きな人もいますし、
どんどん今までにやったことがないことに挑戦することが好きな人もいれば、逆にいつもどおり決められたことを完璧にこなすことに快感を覚える人もいます。

このように、真逆のことでもあっても、それぞれに「好き」と感じる人がいるので、この生き方や働き方が正解というものはなく、結局は自分自身で決めていく必要があるのです。

とはいえ、いきなりそんな風に言われても、何を基準に判断すればいいのかわからない人もいると思います。

そこで、「好きなことで仕事をする生き方が向いているかどうか」のチェックポイントをいくつかまとめてみましたので、この機会にぜひ、自分自身に当てはめて考えてみてはいかがでしょうか。

1:自分の「好きなこと」や「やりたいこと」を理解しているか?

最初にチェックしておきたいのが、自分の「好きなこと」や「やりたいこと」についてです。

好きなことを仕事にするには、当然ですが、自分の「好きなこと」や「やりたいこと」を把握していなければなりません。

僕の場合は、学生の頃から「ボードゲームが好き」というわかりやすいものがあったため、誰にも「好きなこと」はあると思っていたのですが、とある経営者に会ったときに「自分の好きなことが若い頃から既に見つかっていることは幸せなことだ」と言われたことがあります。

つまりこれは、意外と自分の「好きなこと」や「やりたいこと」が見つかっている人が少ないということだと後から気づいたのですが、それでは、今「好きなこと」や「やりたいこと」がない人は、どうやってそれらを見つければよいのでしょうか。

よく「好きなことを見つけるために、ネットや本で新しい何かを探してみたり、今まで体験したことのないイベントに参加してみたりする」というものがありますが、意外と手間も時間もかかってしますし、そもそも億劫でなかなか行動に移せないと思う人も多いと思います。

2つの質問

そこで、おすすめしたいのが、2つの質問について考えてみることです。

① 子供の頃、自分は何が好きだったか?
② お金をもらわなくても、やりたいことは何か?

この2つの質問に答えることで、自分の本当に好きなことが見えてきます。

1つめの質問は、純粋無垢な子供の頃に何が好きだったかを思い出してみることで、バイアスのかかっていない状態の頃の好きなことを見つけやすくなります。

大人になるとどうしても「◯◯に時間を使ってはいけない」とか「◯◯で生きているわけがない」とか様々なバイアスを通して、考えてしまうのですが、今の世の中は、だいたいのことは見せ方をうまく考えれば、生きていくことは可能です。

なので、この質問の答えを考えているときは「◯◯は無理だ」とか「◯◯はありえない」などのような考えは一度捨てて、考えてみると良いでしょう。

まずは「好きなことを見つける」のが最優先です。それでどうやって生きていくかはこのあと、お伝えしていきますので、気になる方はやってみてくださいね。

2つめの質問も、バイアスを外して自分の好きなことを考えることができる質問です。

お金

社会人として生きていくためには当然ながらお金が必要です。となれば、「好きなことで生きていく」ためにもお金が当然、必要になります。

そうなると、無意識に「〇〇でお金を稼げなければいけない」「前提としてまずはお金を稼げるものでなければいけないと決めつけてしまい、結局、好きなことで生きていくという選択は頭の中からなくなっていくのです。

僕も友人と話していた頃は、完全にこの状況に陥っていました。「ボードゲームは好きだけど、それで生きていくのは無理」と誰にも言われていないのに決めつけてしまい、「そもそもボードゲームでどうすれば生きていけるかについて考えること」は完全に放棄していました。

放棄していたというよりも、どんな好きなことでも生きていけることを知らなかったからと言うほうが正しいかもしれませんね。

  • 仕事とは、好きなことより嫌いなことである。
  • 仕事とは、楽しまず、我慢してやるものである。
  • 仕事とは、やりたくないことをやる「義務」のようなものである。

などなど、自分の人生の中で無意識に培った常識が選択肢を無くしていたのだと思います。

その常識を打ち破ってくれるのが、2つめの質問「お金をもらわなくてもやりたいことは何か?」なのです。

「お金のことは考えずに考えてみろ」と言われても、人間、お金のことを考えてしまいますが、「お金をもらわなくてもやりたいことは?」と聞かれたら、答えが変わってくるのではないでしょうか

他にも、自分の好きなことを見つける方法はいろいろありますが、長くなってしまいそうなので、ここらへんにしておきますね。気になる人は、この記事の最後に続きの質問を用意しておきましたので、そちらを見てみてください。

2:自分の最優先のモチベーションが何かを理解しているか?

モチベーション

次にチェックしておきたいのが、自分の最優先のモチベーションが何かを理解するということです。

例えば、最優先のモチベーションが「お金」の場合、好きなことで生きることを考えるよりも、シンプルにお金を稼げる仕事につく方がかんたんですし、商売を始めようと思うなら、好きなことよりも需要があって稼げるものにフォーカスする方が良いでしょう(運良くそれが好きなことなら最高なのですが、そう都合よくはいきません笑)。

誰でも好きなことで生きることはできますが、誰でも明日からすぐにお金を稼げるわけではありませんし、むしろ、時間はかかりやすいものと認識しておく必要があります。

僕でいえば、活動を本格的に始めてから実際にボードゲームだけで生きていけるようになるには3年くらいかかりました。それまでは、他の仕事と平行しつつ、時間の合間を見つけては、ボードゲームの活動を続けて実現できたという感じです。

この3年というのが長いと思う人もいるかもしれませんが、僕にとっては大好きなことだったので、全く苦ではありませんでした。むしろ、普段の仕事と違って、ご褒美的な感覚でやっていたので、続けることができたともいえますね。

お金を稼ぐ

逆に「お金を稼ぐことが好き」な人は、趣味などプライベートに好きなことを仕事にすると、思っていたよりもかんたんにお金を稼ぐことができなかったり、時間がかかると感じ始めたとき、 すぐに「稼げないからやめる」となりやすいため、ぶっちゃけ、あまり向いていないことが多いです。

もちろん、僕のかかった3年はあくまで1つの経験談ではありますが、少なくともお金を稼げる会社に転職して働くよりも早く 、好きなことですぐにたくさんお金を稼ぐことはあまりないのが普通だということだけは肝に銘じておきましょう。

逆に、自分の最優先のモチベーションがお金でない場合は「好きなことを仕事にする生き方」が向いている可能性が高いので、自分の好きなことをいかに仕事につなげられるかを考えていくといいですね。

ちなみに誤解のないように付け加えておくと、お金を稼ぐモチベーションは大切です。あくまで”最優先”のモチベーションがお金であるかどうかの話ですので「好きなことで生きるには、お金を稼ぐことをモチベーションにしてはいけない」わけではありませんので、ゆくゆくはお金を稼いでいくこともしっかり考えていきましょう。

3:それは今の会社でできることなのか?それとも会社から離れなければ無理なのか?

会社

今、好きなことを仕事にして、生きていこうか悩んでいる人の多くは、企業に勤めているかと思います。

もし、好きなことが見つかり、それを仕事にするモチベーションがあるのなら、今の会社にいてできることなのか、もしくは会社から飛び出さないとできないことなのかを一度、落ち着いて考えてみるのも大切です。

もし、今の会社の懐が広くて、新事業部を立ち上げてくれるとか、副業を推進しているところであれば、無理にやめずに一定の収入を得ながら、新しいことに挑戦できるので、かなり理想的といえます。

これは、単純に仕事量が増えて、大変なように見えますが、実は精神的にかなり楽になるので、可能であれば、おすすめしたい理想な働き方です。

なぜかというと、基本的に「好きなことを仕事にした直後」はそこまで稼いでいる状態になっていないことが多いのですが、一定の収入を得ていることによって、このときの精神的負担をなくすことができるからです。

むしろ、好きなことを仕事にしようと挑戦をしているわけですから、そうであれば、ワクワクしながら新しい仕事もできるはずです。もし、このとき、余計な仕事が増えたと思っているのであれば、そもそも好きな仕事ではないのかもしれませんので、見直しが必要でしょう(例えば、お金目的で仕事量を増やしたなど)。

ちなみに僕は新卒で森ビルの大手IT企業に就職したのですが、あまりに楽しくなかったので、思い切って2ヶ月たたずに辞めたところ、地獄を味わいました(笑)

地獄

まだ研修段階だったので、大した手続きもせず、「会社を辞めたいんですけど・・・」と上司に相談したら、偉そうな人と別室で2人にされて、いくつか質問受けて、適当に答えて、書類を書いたら、だいたい2時間くらいで外に出されていましたね。

辞めた直後は、これから新しい挑戦ができると、ワクワクしていたのですが、実際にそこからは、好きなことで生計をたてていくことがいかに難しいかを痛感し、一時期は第二新卒で就活活動までする羽目になっていました(おまけにこのときは、2ヶ月で辞めた新卒を採用してくれる企業はどこもなかったので、さらに絶望していました笑)。

このときほど、毎月、安定した給料がもらえる素晴らしさを感じたことはありません。 そもそも、稼げないから就職したくせに2ヶ月で辞めるとか社会をなめすぎです。

こうなりたくない人は、安易にやめることを考えずに、 よく考えてから実行しましょう(こんなふうにいっても、やっちゃう人は僕のようにやっちゃうんですが笑)。

とはいえ、このような行為をした自分でも、なんだかんだで今のように好きで生きることができているわけですから、人生何があるかわかりません。

逆にあのときのような絶望的な状況を経験したからこそ、今があるともいえますが、もう1度経験したいかと言われると、正直、嫌ですね。

というわけで、可能であれば、一定の収入がもらえる状態で新しいことにチャレンジする環境を整えるがベストですが、それが難しそうであれば、これも憧れの人生への試練と割り切って、飛び出してみるのも1つの選択肢かもしれませんね。

4:自分のやりたいことを既に実践している企業や個人はいるのか?

探す

もし、自分の好きなことが会社で仕事にできなそうな人は、特にチェックしておきたいポイントです。

好きなことを仕事にする方法は、僕のように実績もなにもないところからポジショニングをしていく方法もあれば、既に自分の理想の企業や個人を見つけて、転職したり、弟子になったりする方法もあります。

僕が活動を始めて、ブランドをつくり、ボードゲームの仕事をしているのは、いろいろなボードゲームの企業や活動をしている人を調べたり、実際に会いに行って話を聞いてみたりした結果、自分の理想や、やりたいことを実際にやっている企業や個人がいなかったからです。

たとえば、ボードゲームを販売している会社はありますが、そこで働いた場合、自分がそんなに好きでもなく、おすすめしたいと思っていないボードゲームでも、会社の利益のためにお客さんに紹介したり、販売しなくてはなりません。

他にも、ボードゲームを企業向けに制作している会社はありましたが、個人的な観点でみると「面白さ」や「洗練されたデザイン」よりも「従業員のスキル向上に貢献するか?」が重視されていて、僕のこだわりである「ボードゲームは面白くて楽しいものである」という趣旨から外れていたこともあり、結局、そういう企業で働くこともありませんでした。

キングダムボードゲーム

その結果、個人で活動をして、ブランドをつけていったことにより、店の商品ラインナップなどを気にせず、本当に自分が良いと思ったものだけを紹介することができ、企業向けのボードゲームも「ゲームの楽しさを最優先にする」をモットーに開発することができる仕事をさせてもらっています。

こんな感じで、僕でも「ボードゲーム」というカテゴリーの中で、どんな働き方でもいいとは思っていない(というよりも、好きが強い人ほどこだわりが強いと思いますが)のですから、自分の好きなことでどのように仕事をしたいのかを把握するためにも、その「好きなこと」を生業にしている先人の価値観や実際にやっている仕事を知ることはとても大切といえるでしょう。

その先人の仕事が自分の理想にぴたりとハマるのであれば、弟子入りでもお手伝いでもやってみる価値はあると思いますし、もし、自分の理想の働き方をしている企業や個人がなければ、自分でその理想を掲げて、活動を始めることで、独自のブランドになりますし、モチベーションにもつながります。

どちらにしても、やってみて損はありませんから、仕事にしたい好きなことが見えてきた人はぜひ探してみるのをおすすめします。

5:そもそも、なぜ、その「好きなことが好きなのか」を理解しているか?

なぜそれが好きなのか

何を言っているんだと思われるかもしれませんが「好きなことを仕事にする」ことを考えるのであれば、とても大事なことなので、チェックしておきたいポイントです。

人には各々、好きなことがありますが、なぜ、それを好きなのかについて、「いや、好きなものは好きだから好きなんだよ」のようにあまり深く考えていなかったりすることが多いです。

もちろん、把握していないとダメというわけではないのですが、「好きの理由」を把握することによって、自分の活動を継続するために必要な芯をつくることができ、その芯があることによって、自分が今なぜ、この活動をしているかに自信がついてくるので、後々、効果がでてきます。

仕事というものは、何事も基本的に「継続する」ことが大事なのですが、これは、好きなことを仕事にするときにも当てはまります。

しかし、「好きなこと」の基準がゆるいと、ちょっとでも「なんかこれ、合わないな」とか「これよりもあれの方が好きそう」と一瞬思っただけで、別のものに変えてしまい、結果的に何も成し遂げていないケースが起きやすかったりするのです。

先に言っておきますが、どんなに好きなことを仕事にしても「なんかこれ、合わないなぁ」と思う瞬間は必ずきます。ボードゲームを25年近く続けている僕でも、そう思うときがありますし、なんなら3〜4回くらい「ボードゲームなんてやめてしまおう」と思ったこともあります(笑)。

ですが、活動を始めたばかりの頃、自分の中で「ボードゲームが好きな理由」を突き詰めていたおかげで、途中で放棄せずに続けることができ、今のような、好きを仕事にした最高の人生を送ることができています。

もし、途中でやめていれば、今のような仕事ではなく、ただ金を稼ぐために時間を消費する仕事に身を捧げていたことでしょう。

しかし、「いやいやいや、好きなことが好きな理由って好きだからなんですけど!」と思う人もいると思います。たしかに、好きなことがなぜ好きな理由を考えるのはちょっとコツがいるので共有しますね。

選ぶ

そのコツは「他の似たようなカテゴリーのものと比較したとき、なぜ、それを選ぶのか?」とじっくり考えてみることです。

例えば、自分の場合、好きなことは「ボードゲーム」ですが、 「テレビゲーム」や「スマホゲーム」も「ゲーム」というジャンルではかなり近いです。では、なぜ、ボードゲームを選んだのか?と考えます。

いろいろ考えた末、出た結論は「年齢や性別に関係なく、誰とでも仲良くなれるから」という理由でした。単純に楽しさでいえば、どんなに大目に見ても、効果音や演出が派手なテレビゲームやスマホゲームに軍配が上がります(もちろん、ボードゲームが好きな理由に「楽しい」という理由も含まれていますが、なぜ、それなのか?という理由としては、他と差別化ができていないので理由としては弱いです)。

しかし、テレビゲームやスマホゲームは、そもそもあまりやらないという人もいますし、基本的にテクニック(反応や操作)が求められるものが多いので、人によって得意不得意がでやすく、自然とやる人とやらない人が分かれます。つまり、ゲーマーとそうでない人の溝が意外と大きかったりするのです。

その点、僕がやっていたボードゲームは、誰もが人生ゲームやトランプなどは触れたことがあるので、どんなメンバーが集まっても、自然と遊ぶことができたり、テクニックなどの個人差が出にくいものが多いので、年齢や性別にあまり関係なく、誰もが平等に楽しく、気軽に遊ぶことができるものだということが、実際に考えてみてわかったのです。

もちろん、ボードゲームは誰でも遊べるかんたんなものから、ルールがとてつもなく多くて何時間もかかるものもありますが、自分がなぜ好きなのか?を把握することによって、より自分にあったもの(僕の例でいえば、誰とでも仲良くなれるのに適したボードゲーム)に特化することにつながり、自分のスタイルがより、洗練されて確立していきました(具体的には、あまり難しいゲームをやらなくなった感じです)。

趣味など、好きなことを楽しんでいるときは、特に考えてなくもいいのですが、実際に仕事をする場合に考えておくと、自分の好きなことがブレにくくなり、さらには好きなジャンルが研ぎ澄まされていって、より楽しく仕事ができるようになるので、考えておくと後々、必ず役にたつのでおすすめですね。

ボードゲームの人

松永直樹

松永直樹

ボードゲームソムリエ。ボードゲームデザイナー。世界のボードゲームのプロフェッショナル。20世紀にもっとも影響を与えた2大ビジネス書の1つ『7つの習慣』や映画化で話題の大人気作品『キングダム』のボードゲームを開発。ボードゲームのプロとして『マツコの知らない世界』をはじめ、様々なメディアに出演。「好きなこと(ボードゲーム)で生きる」をテーマにした初著作「戦略と情熱で仕事をつくる」をダイヤモンド社から出版。職業柄、独り身の遊び人だと思われやすいが、一応、最愛の妻と娘の3人家族。

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