無邪気に笑っていた幼いころとは違い、大人になってそれなりの年数を生きていると、幸せな時もあれば辛い時だってあります。でも誰もが、出来ることなら幸せな人生を送りたいですよね。
現実は「人生いい事ばかりではないよ」「私の身の回りはネガティブなことばかり続いて、辛いんです」という方も多くいます。
そのような状況の時、同じような体験をしても人によって「モノの見方が違う」「プラスに逆転の発想ができるか」で起こった事に対する印象は大きく異なります。
起きたことをマイナスに受け取ってしまう人は、もしかしたら先の見えない暗闇の中にいる人もいるかもしれません。
「どうやったら、この黒い長いトンネルから抜け出せるのだろう?」
そう考えてしまいがちな人は、受け取ったマイナスを自分なりに咀嚼して前向きに考える「逆転の発想」が出来るかどうかが、幸せな人生を送るカギの1つになります。
これが出来るようになると、
などが可能になります。私は30代でイタリアに来て、16年間ここで生活しています。歴史、文化や考え方、習慣の違いに驚き、怒り、戸惑いながらも、ラテン系気質のくよくよしないイタリア人から生活の中で「プラスに考える力」を学んできました。
そこで今回は、この「逆転の発想」とはどのような意味があるのか、また、どのように身につけていけばいいのか解決方法を、黒い長いトンネルに実際にはまったことのある私が、自己の経験と合わせてお伝えします。
目次
逆転の発想とは
はじめに「逆転の発想」とはどういう意味があるのか見ていきましょう。
辞書で意味を調べると…
・本来あるべき姿を全く逆から見ること(ニコニコ大百科より)
・自分にとって不利な物事を有利になるように活用すること/ある物事に対して全く異なった視点から考えるさま (weblioより)
などがあり、物事の見方を変えて、プラスに考える、活用すると言えそうですね。
他には日本のことわざでも
「押してダメならひいてみろ」
どんなに押しても開かなかったドアを、ためしに引いてみたらすっと開く。一方向からのやり方だけではなく、違うやり方をしてみたら簡単に解決することもある。
「急がば周れ」
急いで物事をなしとげようとするときは、危険を含む近道を行くよりも、安全確実な遠回りを行くほうがかえって得策だということ。
「人間万事塞翁が馬」
人生における幸、不幸は予測しがたいということ。幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるか分からないのだから、安易に喜んだり悲しんだりすべきでないというたとえ。
などがあります。日常でも聞いたことのある、きっと使ったこともあることわざで、私たち日本人のDNAに刻まれた考え方にもなっています。
まっすぐ突き進むだけではなく、一度立ち止まり、違った角度や真逆の方向から見ることが「逆転の発想」を出来る近道と言えそうですね。
逆転の発想でモノのプラス面をみる
ここでは、「逆転の発想」の考え方をするために、日常生活の中でどのように視点を変えていくといいのか、私の体験も合わせて紹介します。
まずは言葉遊び感覚で練習スタート
日常の小さな出来事を1日1つ、マイナスに目がいってしまったことを、逆転の発想でプラス方向に考え直してみましょう。何かしらポジティブなことが見つかるはずです。
私は数年前、車の運転免許証をイタリアでも運転できるように手続きをして、中古車を購入しました。日本では都心に住んでいたので、免許取得後も運転する機会はほとんどなく、よくいるペーパードライバーでした。
約20年ぶりのマニュアル車、左ハンドル運転席、右車線走行、更にイタリア人の運転はかなり荒く、ウインカーを出さずに車線変更など日常茶飯事なので、乗り始めてみたものの「出来るだけ乗らないように」逃げていました。本当に怖かったのです。
ある日、友人と英語教室で一緒になった時のこと
今日もバスで来たの。帰りは車で送ってくれると嬉しいな。
Tamiko、まだ運転を怖がっているの?怖くても乗れば慣れる!勇気を持って続けないと、人生の半分をバス停でバスを待って過ごすことになるんだよ。
それは嫌だけど…まだ怖い。
今度、私が助手席に乗って、付き合ってあげるから大丈夫。運転しなさい!
と、年下の友人に励まされました。ここは田舎で、バスの本数がとても少ないうえ、遠くないのにバスの路線自体が無く、行きたくても行かれない場所が沢山あるのです。自由に動きたいから免許を取ったにも関わらず、「怖い…」「ぶつけられたらどうしよう…」とネガティブ感情の塊でした。
友人の「人生の半分をバス停で過ごしたいのか」という発言自体がイタリア人的ですよね。(笑)さすがにそれは嫌だ改善したいと目覚めさせてもらい、「私が付き合ってあげる」と安心感を得ることが出来たのです。気持ちをプラスに転じることができたお陰で、今では人並程度に運転することが出来るようになりました。
不安、恐怖を感じた時、私のように知らず知らずネガティブな行動をしたり、言葉を使っていませんか。言葉には不思議な力があります。他人に言ったつもりの言葉も、自分の耳で聞き、自分に返ってきます。
「怖い」と言い続ければ、ずっと怖さに悩まされ、「大丈夫だよ」と言い換えることが出来たら大丈夫と安心でき、行動も変わってきますよ。
もし、ネガティブに感じたり言葉を使ってしまった時は、良いところを探してみてください。「でも…」「逆に考えてみると…」を使い、続きを逆説で言ってみるのがおススメです。
例えば…
せっかくの旅行なのに雪なんて…「逆に考えてみると」滅多にない雪景色の写真が撮れるなんてラッキー。
こう考えると、身の回りで起きることのほとんどがプラスの言葉に置き換えられますよ。毎日続けてみてくださいね。
書き出して、逆転の発想をしてみよう
身の回りの問題点、気になること、過去の辛かったことを書き出してみましょう。一度書いてから読み直し、最初のステップで身につけた「でも」の逆転の発想をして書いてみます。頭の中で「逆転」させていたことを、文字にしてみるのがセカンドステップです。
ノートに向かい、ペンを手に持ち、思ったことをつづる方法がお勧めです。この場合、携帯やパソコンを使うよりも、自分の手を動かすことが、思考を整理するのに役立ちます。
逆転の発想は1つとは限らず、いくつかのポジティブな案が見つかれば書き出してみれば、自分で選択していくことが出来ます。
例えば
→「でも」課題のたくさんある私の生活は充実。「逆に考えてみると」早く処理する方法を考えるのはやめてみよう。逆に整理してやらないでもいい事を止めてみよう。掃除?不潔はいけないけど、適度に保とう。SNSチェックは時間を減らしていいことのトップかもしれない。
→「でも」第一志望の学校に入れなかったのはショックだったけど、人生の終わりではないって2度の体験で分かったよ。いい友人、いい先生にも出会えたしね。だから、仕事もそうだと信じてる。どこに行くかではなく、そこで自分が何をしたいのか、どうなりたいのかが大事だって分かってきたよ。
・私の場合、ネガティブに感じた時はまず、頭に浮かんだことをそのままノートに書き出しています。誰かに見せるものではないので、何でも思いつくままに。その書く作業をするだけで、ストレス解消して気分が変わることあります。
でも解消しなければ、そこから「どうポジティブに変えられるか」を考えたりします。
さらに書いたものを読み直して自分の感情に〇マルを付けて、そこから矢印で引っ張り「でも」と書き、続くポジティブな言葉を探します。矢印は3つでも4つでも引っ張り、浮かぶだけ書いてみましょう。
現実的でなくてもいいのです。未来の希望でもいいのです。ネガティブな言葉は自分に返ってくると先に書きましたが、ポジティブな言葉も自分に返ってきますよ。
例えば、「泥棒に入られた、泣」
→「でも」→「鉢合わせしなかったので、人的被害がなくて良かった(本当に…)」
→「でも」→「何を盗み、どのようにひっくり返すか分かった。今後の対策に生かそう。」
すぐに浮かばないときは、映画を見たり、本を読んだり、家族や友人と話をしながら言葉を探すのもおススメです。
人生は山あり谷あり 両方を楽しもう
逆転の発想をする力がつき、自分に起きていることを客観的に見れるようになると、辛い時、悲しい時、悩んでいる時は一時的なものだと分かってきます。そうです、一生続くわけではないのです。
だからと言って、そう簡単にプラス思考になれる時ばかりではないですよね。長い長い出口の見えないトンネルの時もきっとあります。そんな時は、ノートに書きだす作業を続けながら、辛い状態の自分を受け入れてあげてください。
悪い事ばかりではない、だからといって楽しい事ばかりでもない。逆転の発想で、人生の山も谷も受け入れられるようになれば、人生というゲームを満喫できるようになるでしょう。
「人生なんて挫折して当たり前じゃないの。うまく行くほうが不思議なんだっていう風に、あたしはいつの間にか考えるようになったのさ。…(略)いいことがあったら、手を叩いて喜ぶんだ。悪いことが起こったら、まぁ世の中、こんなもんだって口笛吹いて、おかしくもないのに笑ってやるのさ」
(「ドナウの旅人」(著者 宮本輝氏)東欧のタクシー運転手ステラさんの言葉より)
という言葉があります。こんな風に「人生上手くいったらラッキー」、ネガティブなことには「そんなもんよ!」と考えてやり過ごすのも一つの手です。
起こった事よりも、それに対するモノの視点をちょっと変えるだけで人生はポジティブに捉えられますよ。
逆転の発想を持ち続けるのに必要な幸せの力
人が感じる「幸せ」には大きく分けて3種類あると言われています。逆転の発想を持ち続けるために、自分自身のどの部分の幸せを意識して感じるといいのか、見てみましょう。
1.目標達成による幸せ
試験に合格した! 試合で優勝した! 欲しかった車をゲット! 彼氏が出来た! どれもが、やったー!うれしいー!の達成感による歓喜が聞こえてきそうな幸せです。
脳の中に興奮系のホルモンがいっぱい出ています。目標達成のために、自分のスキルを上げたり、自分自身が磨かれた嬉しい結果ですね。
この幸せにはデメリットもあります。試験、試合、鞄、彼氏、どれも自分の外側にあるモノによって感じる幸せなので、一定の満足感を得た後長く持続しません。再び似た感覚を得るには、次の目標探しが必要です。
2.何も特別なことが起きていないのに感じる日常の幸せ
朝、温かい布団で目覚める、あぁ幸せ! 家族がそばにいる、あぁ幸せ! 窓を開けたら太陽がまぶしい、わー嬉しい!今朝も温かいご飯が食べられる、幸せだな。
書ききれないほど、毎日、朝から夜まで日常の幸せが溢れています。新しいことを必要としないし、自分の内側にあるものなので長く続く幸せです。誰もが持っているにも関わらず、意識しないと気付かない人も多いです。
3.安らぎ、人との触れ合い、感謝の幸せ
子供やパートナーとのスキンシップ、ペットと遊んだり世話をしたり、ボランティア活動をして人の役に立てた時の満足感と感謝された時の嬉しさ、思いやりのホルモンです。
これも、自分の内側で感じられるものなので、長続きする幸せです。
自分の内側の長続きする幸せのポイントの中でも、日々の暮らし、人との繋がりの大切さを知っていると、目の前の一時的な不利な状況に振り回されることなく、「逆転の発想」しやすくなりますね。
私が経験した逆転の発想
数年前、私は家族のこと、自分自身のことで辛いことが重なり、頭が混乱し、とても辛い時期がありました。
・イタリアの自宅で盗難被害に合う
・盗難の翌日に、車の追突事故に巻き込まれる
・父の突然の死
・親戚とのトラブル など他にも…
これらの事がわずか1年数か月の間に重なり、
なんで私にばかりこんな不幸が襲い掛かるのよ~
と、何度発狂しかかったか分かりません。(今だから笑)しばらく暗く何もせず塞ぎこんでいた期間がありましたが、何となく思いつきノートに書きだしてみました。当時の私はまだ書くことが習慣ではなく、決して簡単ではありませんでしたが、少しずつ「あ、これでよかったんだ」とポジティブに考えられるようになりました。
悪いことがこんなに続くなんて滅多にない!それでも生きていられるだから、これより下↓に落ちていくことはなくって、上↑に登って行くのみよ。
暗いトンネルの中にいた当時、辛いなと感じたことも、時間をあけて客観的に振り返れたことで、現在の私のポジティブな力になっています。
今、エレベーターのないアパートの4階に住んでいます。猫を3匹飼っていて、時々屋外に出たがるので、1日に何度も階段の上り下りの運動をさせてもらってます。(笑)健康でいられるのも私を笑わせてくれる愛しき猫たちのおかげです。
たとえ辛いことが起きたとしても、捉え方によって心穏やかに成長することができますよ。何を失ったかではなく、今持っているもの、あるものに目を向けてみてくださいね。
まとめ
一般的には幸せになるために、いい学校に行き、いい会社に入り、高額のお給料をもらいましょうと言われ続けてきました。
でも、近年この図式が崩壊しつつありますよね。お金があっても家族愛がなく幸せでない人、お金のために働き過ぎ、ストレスで健康を害する人が増え続け、お金だけで幸せを買うことは出来ないことが明確になりつつあります。
「逆転の発想」は幸せへの道につながる有効なスキルの1つです。不幸に感じた出来事も自分で幸運に転じることができます。よかったなと思っていたことが、よりハッピーになることもあるでしょう。マイナスをプラスに、さらにプラスにプラスを重ねてみませんか。
日常の出来事もポジティブに変える「逆転の発想」の力をつけて、ステキな毎日を送ってくださいね。
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