「ニッチ市場を狙おう!」「ニッチ戦略を立てよう!」などスモールビジネスや個人事業に関わっている方なら誰もが聞いたことがあるフレーズだと思いますが、ニッチ戦略の本質を理解し、活用できている方はどのくらいいるのでしょうか。
「知っている・分かっている」と「出来ている・成功している」は全く別のもの。言葉や知識だけ増えて頭でっかちにならないためにも、リアルな成功事例を知って、実践していくことが大切ですよね。
とはいえ、まずは認識を統一するためにも、「ニッチ戦略」についてGoogle先生に聞いてみましたよ。
ニッチ戦略とは大手企業が乗り出してない分野や、誰も注目していないような分野をねらって進出しようという戦略。ニッチ戦略をとる企業をニッチャーという。いわゆる「すきま産業」のこと。
コトバンク
普通だ…。そして言葉ではとても簡単…。っていうかその「すきま」を見つけるのが大変やないかい!
そう思った方も多いのではないでしょうか。なにを隠そう私自身が一番思っています 笑。というのも私もデザイナーとしてスモールビジネスをしている身。
是非とも「ニッチ潜略」を活用して成功している方に話を聞きたい!!
そんなよこしまな個人的な理由もありつつ…(笑)
今回は、ニッチ戦略で開業2年目にして、リピート率80%の勝ち組ネイリストになった方にインタビューしてきました。この記事を参考にみなさんのビジネスの拡大に繋がったら幸いです。
コンサルタントなどを付けず達成したというから更におどろき!!
※今回も1回では拾いきれないところもあり追加取材もしましたので、編集記事になっています
目次
リピート率80%以上の勝ち組ネイリストとは
今回のインタビューはこちらの方。akiさんです。akiさんは「オーダーメイドで個性的なネイル」という独自の路線で活躍されているネイリストさんです。
私の昔からの友人兼ネイリストさんです。そうです。前回に引き続き、私の周辺です 笑。
私のまわり、素敵な変わり者いすぎか! 笑
という心からのI love youと感謝を感じつつ、家から車で10分の那覇市にあるサロン「HORMIGA ーオルミガー」さんへお邪魔しました。
住宅街のど真ん中の一室。知る人ぞ知るという隠れ家的お店です。
今日は、私が以前から聞きたかった独自のニッチ戦略を聞きたいと思っています。言えるところまででいいのですが根掘り葉掘り聞きますのでよろしくお願いいたします。
ニッチ戦略って…笑 よろしくお願いします。
まずは、akiさんは開業2年目だそうですが、お客様のリピート率が80%以上だそうですね〜。
リピーターさんはだいたい月平均80〜90%あたりかと思います。
まじか!!90%ってほぼじゃん!
それはすごいですね!!初めからそんなに高かったんですか?
初めは全然でしたよ。「私ってニートでした?」と思うぐらい暇な日が続きました。
ニートからリピート率90%!
とは行っても、お客様に安定して来て頂けるようになったのは本当にここ最近のことで、そこまでは試行錯誤の日々でした。
やっぱり試行錯誤大切〜!んじゃもっと具体的なところを根堀葉掘り聞いていきますよ!
限られた場所、資金、時間、知識での独立
ではここから「お客様がいなかった開業時期からリピート率80%以上になったニッチ戦略」をじっくりと聞いていきたいと思います。
いいですけど、ぶっちゃけ「ニッチ戦略」なんて事全然考えてなかったです 笑。
え…?てっきり初めからちゃんと考えていたんだと思っていました。
そもそも独立しようと思った時、自分のやりたいネイルのスタイルと接客方法は見えていたのですが、それを言葉で伝えるまでには至っていなくて、あくまでもニュアンスというかぼんやりとしたイメージしか浮かんでいませんでした。
ビジョンがあっても言葉に表すことって難しいですよね〜。
重ねて言えば、場所も決まらず、資金もない。ある程度の事務的知識はありましたが、より実践的なもの、例えばSNSなどを使った個人で闘う知識や経験もない。という状況でした。
それでも、どうせ開くなら自分で行きたいと思えるようなサロンにしたかったので金融公庫さんに資金の借入を申し込んだんです。その時に初めて、公庫の方に納得してもらえるくらいのきちんとした事業計画を立てなきゃ…となったことで、めちゃくちゃ考えることになりました。
こだわりをとるか予算をとるか…。それが問題ですね〜。逆に限られてた状況だったから良かったとも言えますね!
ですね。でもそのおかげで、自分自身の軸になるものがはっきりしてきたと思います。
どんなお客様に来て頂きたいのか。どんなサービスを提供したいのか。そういった本質的なことをクリアにしていきました。
ビジネスを始める時に一番時間を使うとこですね!
とことん自分と向き合いましたね。正直そこが一番しんどくて。でも、自分でビジネスをやっていく人は絶対通る道だと思うんです。そこで自分に向き合える覚悟が無いとその先が難しいのかもしれないですね。
確かにそうですね。ちなみに、その時決まった軸を教えてもらっていいですか?
先程の内容に照らしてみると
Q:どんなお客様に来て頂きたいのか
A:オーダーメイドのネイルやサービスを求めているお客様。
Q:どんなサービスを提供したいのか
A:だれでも入れるようなところではなく、隠れ家のような場所で心からリラックスして頂けるようなサービスを提供したい。
といった感じです。
へぇ〜。個性的なネイルがやりたい!という感じではないんですね〜。やり方というよりあり方に近い!
「あり方を決める=今後の方向性を決める」。企業でいうところのビジョンやミッション、理念の部分ですね。一人で行うビジネスにおいては、あり方=生き方にも直結するところなので仮でも決めておきたいところです!
複数のニーズとウリ(強み)の掛け合わせでポジションを確立する
あり方を明確にしたakiさんは、次にニーズやリソースの棚卸しを行ったそう。
ニーズ、ウリ(強み)は、ふんわりとは捉えていましたが、言葉で説明できるぐらいクリアにするために客観的に分析していきました。
akiさんは1つだけではなく、複数のニーズやウリ(強み)の掛け合わせをすることで、今のポジショニングを確立しています。その独自の方法をひとつづつ解説していきましょう!
業界全体の傾向
まずは沖縄のネイル業界全体のニーズや傾向を洗い出し!
- 沖縄はネイルをしている人、ネイルサロンが多い。
- ネイルしている人は同じネイリストに長く通う方が多い。
- ネイルサロンは入りやすい道沿いや1Fかショッピングセンターにある。
- 沖縄の人はトレンドより、独自の好みがはっきりしている方も多い。
など、沖縄は独自の傾向もあるので、以前勤務していたサロンでの経験やトップネイリストさんたちのSNSなどから情報を収集し分析しました。
へぇ〜!初めて知ることばっかり!
ニーズの調査
ニーズの調査はどのようにしたんですか?
もともと、自分の手にするネイルは自分自身が気に入っているデザイン以外はやりたくなかったんです。なので前職からずっとアートネイルをしていました。ネイリストにとって、自分のネイルが名刺がわりだと私は思っているので。
そのうち、お客様を中心に「やってほしい」とか「かわいい」などの評価をいただいて。もしかするとこういったデザインのネイルは思った以上にニーズがあるのかな。と感じました。
自分のネイルが作品ですもんね〜
あとは、今まで勤めていたサロンで、お客様はネイルをするためだけに来店しているわけではなく、お話をしたくて来店されていたり、ネイリストさんに会いにご来店されるというケースもあるのかなということも感じていました。
確かに!施術中は3〜4時間ずっと近くにいるから、なんでも話しちゃう感じがしますね!手も触られてるし心を開きやすいというか。
そうなんですよ。ネイリストさんによってはつい技術の方ばかり追求しがちなんですけど、お客様にとっては親しみがあったり、ちゃんと説明してくれるネイリストを求めていたりすることもあると思うんです。ネイリストという職業を技術職ととるか、接客業ととるかでも変わってくるとは思います。
私は大前提としてネイリストという職業は接客業だと位置づけていますが、尚且技術はあって当たり前だと思っているのでどちらも大切にしていきたいです。接客も技術も。
ウリ(強み)の設定。世界観(ブランディング)の構築
ここまでニーズもやりたい方向も見えていたものの、自信の無さから自分自身のウリ(強み)を見いだせなかったんです。
え…?お店ひらくのに…?
ですよね 笑 金融公庫の方にも言われました 笑
どうやってウリを設定したんですか?
これは同業のネイリストさんたちやオーナーさんの助言のおかげが大きくて。私がやっているアートネイルの独自性や、お客様の話をじっくり聞く接客を褒めてもらったんです。
おぉーーー!それは嬉しい!
尚且、ネイリストとしてお客様の前に座るなら、ハッタリでも自信がある振りをしなさいと。それはお客様に対する最低限のマナーだと。それができなければネイリストとして失格だときつくお叱りをうけました。
おぉー!プロフェッショナル…!!
でもその言葉を思い出したおかげで、自信が持てた…というか覚悟が決まりました。私が目指したいネイリスト像ともニーズとも合致していたし。
同業のネイリストさんに言われると自信が持てますね!
褒めてもらったところや目指したいビジョンを全面に打ち出して、広告や場所、内装などを調整していきました。結果的に他のネイルサロンにはない世界感がつくれたかなと思っています。
リピートを促す施策
次にリピートを促すための施策などあれば教えてください。
リピートか…。スタンプカードとかはありますけど、それは違う気がするし。
強いて言えば、先ほどお伝えしたニーズを満たしていたお客様はリピートして頂けています。技術とサービスを心を込めてやると、ありがたいことに閑散期といわれる時期も結構ご予約頂くことができました。
心を込めるためには、時間・精神的余裕を持つことかなって。私の場合、余裕が無いと会話もほとんど覚えていないし、細かいところにも気づけない。近い距離だとそういった微妙な空気をお客様も感じ取っているように思います。
実践済み!ニッチ戦略で成功したことと失敗したこと
あり方を決めて、ニーズとウリからポジションを設定したら、次は具体的な方法ですよね!
ここからは、akiさんが具体的に実践した方法の中で特に成功したことと失敗したことをまとめて解説していきますYO!
Here We Go!!(←なぜか英語)
成功したこと
チラシ戦略
自分のスタイルが好きそうなお店や人を狙う。
私のネイルのスタイルは個性的だったので、個性的なものが好きそうなお店や人にお願いして宣伝させてもらいました。
具体的には美容室や雑貨屋、小規模の飲食店(Bar)などいわゆる「人と違うこと」が好きな人や個性的なことを求めている人が集まりそうな場所です。
自分の趣味や好きなお店に置かせてもらう。
私の個人的に好きなお店やよく行っているお店にもお願いしました。
やっぱり自分の感性と似ている人が集まるところなので、そこから来てくれたお客様や紹介してもらったお客様は話や好みが合う方も多く、よくリピートしていただいています。
狙ったのは、チラシをとった人ではなく、その周りの方です。
チラシをみた人や手にとってくれた人の記憶に残ってて、その人がこのチラシがはまりそうな友人や知人と話している時に、思い出してもらうようなイメージです。
他のネイルサロンと雰囲気を真逆のデザインにする。
一般的なネイルサロンのチラシは、白やピンク、キラキラ系が多いと思いますが、そもそも私のスタイルとは違うし、同じデザインだと目立たない。と考えたので真逆の黒ベースで作成しました。
あとは自分自身が手に取るかということがポイント。私自身もともとネイルサロンに行ったことがなくて、「ネイル=キラキラ女子」がやるものと思っていたんですよ。
だからネイルしたくても敷居が高すぎるというか、行きづらい。そんな私みたいなキャラの人でも行ってみようかと思えるようにすることが大切かなと。
サービス内容
他のネイルサロンがやりたくないこと(やってないこと)をサービスにいれる。
他のネイルサロンは「完全なるおまかせデザイン」というのはあまりやっていないところが多くて。ワンカラーなどのスタンダードなものか、見本の中から選んでもらう、もしくは持ち込みデザインのどれかなんですね。
理由としては、デザインを提案したほうが決めやすいお客様が多い。時間や材料の予測がつきやすいので管理しやすい。というものなんです。
でもよくよく聞いてみると本当は「自分に合うデザインや色を提案してほしい。分からないからプロに選んでほしい」というニーズも一定数あるようで。ファッションで言うところのパーソナルスタイリストみたいな感じですかね。
もともとお客様とじっくり向き合いたいという、私のこだわりとも一致したということもあり好評いただいています。
失敗したこと
クーポンがついた広告を打ち出す
私の印象なんですが、クーポンがないとご予約されない方は、色々なサロンを転々としていたり、お値段重視だったりで、顧客化されない方が多く、無断キャンセルの確立も高かったんです。
そこを踏まえると、私にはクーポンの利点は見いだせませんでした。
当店はどちらかというと好みで言うところの偏りがあったり、わざわざこのお店を選んでご来店して頂く、どういったお客様をターゲットとしているので、今後クーポンを打ち出すことはないと思います。
おまかせデザインをお願いされた時に、自分のデザインを提案しなかった
初期のころ「おまかせデザイン」をお願いされたとき、“私のデザイン”ではなく、“流行っているネイル”を提案してしまうこともありました。
今より自信が無かったのが理由なんですが、お客様としては変わったものを期待していたのがありきたりなデザインになってしまうので、やはりリピートには繋がりませんでした。
トレンドに乗っかる
私のデザインは個性的なもので、あまり流行を追わないスタイルです。一通りトレンドの流れは把握していますが、そこにガッツリ乗っかってしまうと、全く違うスタイルになってしまうんです。トレンドの中でもスタイルを引き立てる要素だけ取り込むことを意識しています。
納得できてないものをやる
初期のころアドバイスをいただけることもあったのですが、自分の中で腑に落ちない方法は気持ちが乗らないこともあり、空振りに終わりましたね。
例えば、Instagramやブログの文章に「♡」や「♫」を入れたり 笑
結局しんどくて更新は滞りがちになっています 笑
ことスモールビジネスにおいては、誰がやっても同じじゃなくて、私を選んでもらわないと意味がない!自分のキャラクターやサービス内容に合った戦略を立てましょう。
ニッチ戦略こそ他社と共に発展するという裏技
自然ですが、緻密な戦略を立てているakiさんですが、日々サービスする中で、競合他社は気になったりしますか?
気にはなりますけど、特にライバル視とかしてないですね。
平和主義だから?逆に競合にもならないと思っているとか?
全然違います 笑
独自の軸がしっかりしてくると、自分の技術やサービスを磨き続けることや、目の前のお客様に集中していると競合とか関係なくなる。というかその余裕もないんですよ。
しかも好みや価値観はそれぞれなので、自分スタイルを押し付けても、無理して合わせても誰も幸せにならないかなって。なので当サロンのスタイルとは少し外れているお客様にはそれとなく「ストーン系はあそこのサロン得意みたいですよね〜」という感じでお伝えしています。
すげーーーぃ。。
それでも選んでもらえるからこそ嬉しいし、サロンの特色によってお客様が選べればいい。実際、全く違うスタイルの独立したネイリストさんとは、飲みに行ってアドバイスをしあったり、情報共有したりしています。
これからの戦略
順調に波に乗っているakiさん。ズバリ!今後の戦略を教えてください。
喫茶店とかやりたいです。
き…っさ…てん…?ネイルは…?
笑 というのはひとつの夢で 笑
ネイルサロンという看板がなくても、おきゃくさんがわざわざ来てくれるネイリストでありたいです。そのためにはもっとひとりひとりのお客様と向き合う時間をとって、生活に寄り添えるネイルを追求していきたいです。
看板は喫茶店だけど、知る人ぞ知るネイリストってことか…笑 占い師みたい!
施術の時間で向き合うというのは分かるんですが、生活に寄り添えるネイルについて具体的に教えてください!
日常生活をおくる中で嬉しい時も辛い時、色々あると思うんです。そんな時にふとネイルを見てときめいたり、元気がでたりしてくれたら嬉しいなと。
ネイルが伸びてきた時も美しく見えるようにフォルムを考えたり、できるだけ持ちを良くするために丁寧に施術するとか。あとはやっぱりお客様が施術後にスッキリしてくれるような空間とサービスを提供しつづけたいですね。
なにそれー!!!めちゃくちゃ素敵やないかっ!!!
一番の夢お客様に料金を決めてもらうことかな。お客様の言い値で施術しても生活できるだけの選ばれるネイリストになりたい 笑
宇宙料金制ですね!
宇宙料金っていうの…?
たぶん…笑 知らんけど…笑
…。
まぁ戦略ということでもないですが、私の日常になっているネイルとずっと関わっていけるように手を抜かないって感じです。
まとめ。本当のニッチ戦略とは。
今回のインタビューでは、akiさんに方法論や戦略の解説をしていただきましたが、結局のところ「客観的に自分を分析して、お客様目線の最高のサービスを提供する」という信念が、今のポジションを確立させたのだな〜と感じました。
私が彼女のネイルに通い始めてから運気が右肩上がりなのは、そんな信念を持ちながらサービスや居心地の良さを提供してくれているから。落ちてる時も上がっている時も、彼女と彼女のネイルがパワーをくれるからです。
方法や戦略も大切!でももっと大切なのは、自分とお客様に誠実に対応する姿勢なんですね。
少しでも彼女のビジネスやお客様への向き合い方が、あなたの幸せなビジネスのヒントになりますように。
現場からは以上でーす!
みてるだけで世界感に浸れるakiさんのネイルサロン「HORMIGA ーオルミガー」さんのSNSはこちらでーす!
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